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PTB、可搬レーザ向け周波数2逓倍ユニットを開発

February, 1, 2018, Berlin--ドイツ物理工学研究所(PTB)は、電波時計などで時間を提供することで知られている。この目的のために、PTBは世界最高のセシウム原子時計を運用している。同時に、PTBは様々な次世代原子時計の開発を進めている。
 これらの時計は、セシウムのマイクロ波に依存するのではなく、光周波数を使って励起される他の原子で動作する。これらの新しい時計の中には、他所に輸送可能なものさえある。QUEST研究所では、PTBは現在可搬光アルミニウム時計を開発している。目的は、実験室の外で物理現象(アインシュタインが予言した赤方偏移など)の計測。このための必須条件は、必要なレーザが他所への輸送に耐えられることである。PTB物理学者は、したがって、アインシュタインの重力加速度の3倍で揺らしても継続動作する周波数2逓倍ユニットを開発した。この成果は、”Review of Scientific Instruments”に掲載されている。
 地球の重力場において異なる2つの場所にある2つの時計は異なるスピードで時を刻むことを発見したのはアインシュタインである。初めは奇妙な考えに聞こえたことは、全く実用的な効果を持っている。10-18という非常に小さな相対測定不確かさを持つ2つの光原子時計は、地球上の任意の点間の高低差をわずか1㎝の精度で計測できる。この、いわゆる「測時高低測量」は測地学における時計の重要なアプリケーションである。このための必須要件の1つは、2つの時計の光周波数が、例えば、ガラスファイバを介して比較できることである。
 PTBは、現在、各々がトレーラ、コンテナで輸送できる、いくつかの異なるタイプの原子時計を開発している。しかし保護された実験室の外での動作には、多くの課題がともなう。例えば、環境温度の安定性は著しく低い。さらに輸送中に大きな衝撃が起こるかも知れない。これは、実験室で完璧に動作していた光学構造が、その目的地では、最初に不安定になる理由である。時計を、苦労して再調整しなければならない、これは貴重な研究時間の損失になる。
 特に、この最後の問題は、QUEST研究所で開発中の可搬アルミニウム時計に関係する。この時計は、何よりも2つの267nmの紫外レーザを必要とする。この波長では、絶対にレーザダイオードを購入することはできない。代わりに、長波長の赤外レーザが連続的に周波数2逓倍されていなければならない。このプロセス中、高い光パワーがリングを周回するように、光は4つのミラーの閉じたリングに結合する。このリングの中に設置された非線形結晶が、周回する光を半波長の光に変換する。ミラーは誘電体コーティングされており、光はキャビティから出て、時計の読み取りに使用される。QUEST研究所は、この周波数2逓倍キャビティの設計を開発した。キャビティは、モノリシックであり、したがって高安定フレームである、すべてのミラーと結晶は、そのフレームにマウントされている。このセットアップは、結晶を保護するために、外部に対して気密封止されている。結晶は、わずかな汚染にも強く影響されるからである。
 キャビティの開発者は、1gの加速度に晒されてもレーザ光が2逓倍されることをプロトタイプで実証することができた。さらに、周波数2逓倍の効率は、最大3gの加速度に、30分晒された後でも機能低下が起こらないことが示された。これは、トラックでの道路輸送に関して、ISO13355:2016基準で定められた値の5倍に相当する。しかしキャビティは機械的に堅牢であるだけでなく、他の研究所の研究グループが開発した同等システムと同じ効率である。さらに、130時間の連続動作も実証された。
 これらの特性を考慮して、QUEST研究所はこの2逓倍キャビティを他の波長(UVだけでなく)のためにも複数作製した。これらは、様々な量子-光実験の不可欠のコンポーネントになっている。狙いは、これらの実験に高信頼のレーザ光を提供することである。さらに、ドイツのオプトメカニクス会社が、その設計のライセンスを得て、それを商用製品の基盤にする。
(詳細は、www.ptb.de)