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TU Wien、新しい半導体加工技術を開発

January, 24, 2018, Wien--TU Wienは、単結晶シリコンカーバイドで多孔質構造が造れるようになった。これは、マイクロセンサ、ナノセンサや電子部品の実現可能性を開くものであるが、一定の色をフィルタリングする組み込み光学ミラー素子も可能性がある。
 微小孔の極めて微細な多孔質構造が半導体に作製できる。これによって微小センサ、珍しい光学および電子部品の実現可能性が開かれる。すでに、シリコンでできた多孔質構造でこの領域の実験は行われている。TU Wien研究チームは、多孔質シリコンカーバイド(SiC)のコントロールされた製法の開発に成功した。シリコンカーバイドはシリコンに対して大きな利点がある。化学耐性が高く、したがって、追加のコーティングなしで、例えば生物学的アプリケーションに使用できる。
 この新技術の可能性を実証するために、多様な光波長を選択的に反射する特殊ミラーをSiCウエハに組み込んだ。これは、約70nmの薄い層と多孔度の違いにより作製されている。

光屈折を用いた制御
 TU Wienのセンサとアクチュエータシステム研究所、Markus Leitgebは、「多孔質構造は、光波が材料に影響される仕方に影響を与える、多効率を制御できれば、その材料の光屈折率を制御できることになる」とコメントしている。
 これはセンサ技術では非常に有用である。例えば、微量の液体の屈折率を多孔性半導体センサで計測できる。これにより多様な液体を高信頼に区別できる。
 技術およびアプリケーション指向から、別の魅力的オプションは、非常に局所化された方法でSiCウエハ一定範囲をまず多孔性にし、次に新しいSiC層をこれらの多孔性エリアに堆積する、その後で多孔性エリアを制御しながら崩壊させる。この技術は、センサ技術でも重要な役割を果たすことができる微細構造、ナノ構造を作製する。
 しかし、これらの技術では全て、適切な出発材料の選択が重要になる。「今まで、シリコンがこの目的に用いられてきた」とSchmid 教授は言う。シリコンは、しかし、大きな欠点がある。例えば苛酷環境下、つまり高熱、アルカリ溶液では、シリコンでできた構造は冒され、急速に崩壊する。したがってシリコン製センサは、生体あるいは電気化学アプリケーションに適さないことがある。
 このため、TU Wienでは、半導体SiCと同じものを達成しようとした。SiCは、生体適合的であり、化学的な視点から著しくロバストである。とは言え,SiCから多孔性構造を作製するには、特殊な秘訣が必要だった。
 まず、表面をきれいにし、次にプラチナ薄膜で部分的に被覆する。SiCは、次にエッチング溶液に浸され、UV光に晒す。これは酸化プロセスを開始するためである。これにより、1µm厚、薄い多孔質層が、プラチナで被覆されていない領域に形成される。次に、電荷をかける。これは、多効率と次の層の厚さを正確に設定するためである。ここで、電荷をかけられると、最初の多孔質層が細孔形成を促進する。
 「多孔質構造は、材料の表面から、どんどん内部に広がる」とMarkus Leitgebは説明している。「このプロセス中の電荷を調整することにより、所望の深さの多孔質を制御することができる」。このようにして、高レベルと低レベルの多効率で、SiC層の複雑な構造を造ることができた。これは最終的には、高電圧パルスを印可することでバルク材料から分離される。個々の層の厚さは、層状構造が所定の光波長をよく反射するように、またある光波長を透過するように選択できる。結果的に、集積された色選択ミラーが出来上がる。
(詳細は、www.tuwien.ac.at)