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Science/Research 詳細

磁気アシストによるホログラムメモリ実用化へ向けて前進

December, 19, 2017, 豊橋--豊橋技術科学大学の中村雄一准教授・リムパンボイ准教授らのグループは、磁気アシスト記録によって、世界で初めて磁気ホログラムメモリの記録エネルギーの低エネルギー化とエラーゼロでの再生に成功した。これは、書き換え可能な超高密度高速光情報ストレージとして、磁気ホログラムメモリの実用化に貢献する技術。
 近年、インターネットや 8K 放送をはじめ、世の中に流通する情報は増え続けており、そうした大容量データを超高記録密度・超高速で保管する革新的な技術が求められている。
 磁気ホログラムメモリはそうした要求を満たす技術の 1 つであり、DVD や Blu-ray Disc と同サイズのディスクに 1 TBを超える情報を記録できる技術。磁気ホログラムは、記録の際、一方向に磁化させたメディアに情報を持った光(信号光)と参照光を照射すると両者が干渉して、その結果生じる光の強弱のパターンが磁化の向きの違いとして記録される。このとき、外部から磁場をかけながら記録することで、磁化の向きの違いをはっきりと記録することが可能となり、これを磁気アシスト記録という。
 研究グループは、この磁気アシスト記録という手法を用いて、世界で初めて磁気ホログラムメモリの記録エネルギーの低エネルギー化とエラーゼロでの再生に成功した。
 研究グループは、シミュレーションにより、磁気ホログラム記録時に磁化を反転させるのに必要な浮遊磁界の大きさを評価し、メディアの膜厚が薄いほど浮遊磁界が小さくホログラムの記録が不鮮明になる傾向があることを見いだした。メディアの膜厚が薄い場合であっても、磁気アシスト記録を行うことにより、はっきりとした磁気ホログラムが形成でき、形成できた磁気ホログラムへ参照光を照射することで、明るい再生光が得られることを実験で示した。その後、二次元データを磁気アシスト記録し、再生したところ、明瞭な再生像が得られ、より小さなエネルギーで書き込んでも記録・再生したデータのエラー数を劇的に低減でき、エラーゼロでの記録・再生ができることを初めて実験で示した。
 研究グループは今後、記録密度の向上に向けた研究を推し進め、最終的には Blu-rayディスクを超える超高密度高速光情報ストレージとして、8K のスーパーハイビジョンや 3D 映画などの大容量コンテンツを入れて持ち運べたり、医療生体画像データやインターネットにおける SNS、データセンターなどの大容量データのアーカイブ・コールドストレージなどに広く利用できる技術として確立することを目指している。
(詳細は、www.tut.ac.jp)