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KIT、分子磁石により量子コンピューティングで高速検索

November, 24, 2017, Karlsruhe--膨大なデータ量から単一要素を検索することは、古典的なコンピュータには極めて複雑であり、無駄骨である。カールスルーエ工科大学(KIT)の研究チームは、Gloverのアルゴリズムを量子力学的に実行し、分類されていないデータから検索要素を迅速に見つけ出すプロセスの実行に成功した。研究成果は、Physical Review Lettersに掲載されている。
 汎用量子コンピュータはまだ幻である。しかし、古典的コンピュータよりも迅速に一定のタスクを解決する特殊量子システムは、すでに科学において重要な役割を果たしている。分類されてないデータからある要素を高信頼に見つけ出すために、従来のコンピュータはすべての検索要素を連続的に見なくてはならない。最も好ましくないケースである。Groverの検索アルゴリズムを実装した量子システムは、検索を二次的に加速する。
 KITのWolfgang WernsdorferおよびMario Ruben教授をリーダーとする研究チームは、Institut Néel (Grenoble)の研究者とともに、その実行に成功した。研究チームは、Groverのアルゴリズムを分子磁石に適用し、量子システムを作製。これにより、分類されていないデータの中から検索要素を迅速に見つけ出す。
 最新の研究プロジェクトでは、4エレメントの小さなデータベースの迅速検索実行可能性を実証した。「しかしこの方法は、たくさんの、非等距離エネルギーレベルのどんな量子システムでも実装可能である、すなわち汎用量子検索アルゴリズムへの道を開くものである」とRuben教授はコメントしている。
 研究チームは、Groverのアルゴリズムを、特殊設計のマイクロ波と重ね合わせになっている分子磁石に実装した。重ね合わせは量子効果であり、そこでは粒子が同時に異なる状態をとる。量子操作を行うと、単一分子トランジスタが検索結果を読み出す。
 KITの物理研究所、ナノテクノロジー研究所(INT)教授、Wolfgang Wernsdorferは、量子状態は電解のみを使用して極低温で操作する、と強調している。「この技術が現在の電子デバイスに組み込めるとわれわれが考える理由はここにある」。
 カスタマイズされた分子トランジスタは、INTのMario RubenのチームとKITの無機化学研究所によって合成された。その中心には、際立つ磁気モーメント、スピンを持つテルビウム原子がある。テルビウムは、外部の影響からシールドされた有機分子で囲まれている。
(詳細は、www.kit.edu)