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アト秒フォトニック技術で原子からの電子放出時間を解明

November, 17, 2017, Stockholm--ルンド、ストックホルムおよびヨーテボリの研究グループは、ネオンの電子が原子から放出される時間を測定した。結果は、0.000 000 000 000 000 02秒。
 「光が原子に当たるとき、電子が光からのエネルギーを吸収する。直ぐ後に原子の結合力から電子が解放される。この現象は、光電離と呼ばれており、物理学の最も基本的なプロセスで、アルバート・アインシュタインが初めて理論的に解明した。アインシュタインは、この特殊な発見で1921年にノーベル物理学賞を受賞した」とスウェーデンのルント大学アトフィジックス博士課程学生、Marcus Isingerは説明している。
 光電離は、光と物質との相互作用に関するものである。この相互作用は、光合成、地球上の生命にとって基本的であり、これによって研究者は原子を研究することができる。
 「原子と分子が化学反応を起こすとき、電子は力仕事をするものである。電子は再組織化し、分子間の新たな結合を作るか、または破壊する。そのようなプロセスをリアルタイムで追跡することは、科学の至高の目標である。われわれは、それに今一歩近づいた」とMarcus Isingerは話している。
 ネオンは、電子総数が10個の相対的にシンプルな原子であるが、実験は、極めて注意深いタイミング、アト秒の精度レベルと、極めて高感度の電子検出、速度がアトジュールの約1/1000の違いで電子を区別できる感度、これら両方を必要としている。
 研究成果は、数年にわたる理論研究を確認し、アトフィジックスが、より複雑な分子を扱える準備ができていることを示している。
「化学反応中に分子がどのように電子を交換するかを観察できることは、多くの基礎生物学と化学のプロセスの全く新しいタイプの研究にドアを開く」。
 新しい計測技術は、量子物理学の父、Werner Heisenbergが1927年に定式化した限界を回避する。「ハイゼンベルクの不確定性原理」によると、電子の位置と速度を同時に確定できない。しかし、今回、スウェーデンの研究者は、それが可能であることを示し、波長の違う2つの光の短パルスの重ね合わせ(すなわち干渉)によって、実際にやって見せた。