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ハーバードSEAS、WGMを使って光の運動をコントロール

October, 27, 2017, Cambridge--ハーバード大学Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences (SEAS)の研究チームは、フォトニック回路で光をコントロールする新しい方法を実証した。
 集積フォトニック回路は、電子ではなく光を使って情報を伝えるもので、通信、センシング、データ処理に有望視されている。しかし、光を制御し動かすことが大きな課題となっている。一つの大きなハードルは、光が集積回路の様々なコンポーネントで伝搬速度と位相が多様であることだ。光が光コンポーネントに結合するには、同じ運動量で動く必要がある。
 SEASの研究チームは、北京大学と協力して、ウイスパリングギャラリマイクロキャビティ(WGM)として知られる広範に利用されているコンポーネントで広帯域光の運動量をコントロールする新しい方法を実証した。
 「マイクロキャビティ内の広帯域光カオスが多くの光学的状態にアクセスする汎用ツールとなる。以前は、様々な波長で光を結合して出入りさせるにはたくさんの特殊な光学素子が必要だったが、この研究でわれわれは全ての波長の光を単一の光カプラで結合できるようになった」とSEASのMarko Loncar研究室の院生、Linbo Shaoは説明している。
 光ウイスパリングギャラリでは、強い閉じ込めの、髪の毛よりも小さな円形空間にトラップされた光波は、キャビティ内を周回する。
 しかし、波の動くスピードが異なるため、光回路で導波路からウイスパリングギャラリの光場まで光場を結合するのは難しい。
 ニュートンの運動量保存則を破ることなく、運動量のこの違いを解決するために研究チームは小さなカオスを作った。光マイクロ共振器の形状を変形することで、いわゆるカオス的チャネルを作って利用することができた。その中では、光の角運動は保存されることなく、時間とともに変化する。共振器の形状を互い違いにすることで運動量の調整が可能になる。共振器は、導波路とWGM間の運動量が一致するように設計できる。重要な点は、結合が広帯域であり、他の場合には結合しない光状態間で起こることである。
 この研究は、光量子処理、光ストレージなどでマイクロキャビティオプティクス、フォトニクスに新たなアプリケーションを提供するものである。
(詳細は、www.seas.harvard.edu)