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Science/Research 詳細

3Dプリントフリッパー付ロボットを使い先史海獣の泳ぎを再現

September, 5, 2017, London--サザンプトン大学(University of Southampton)の新しい研究が、先史時代の海獣の泳ぎ方を明らかにした。研究チームは、海獣の動きを真似るロボットを作製した。
 サザンプトンの研究チームは、ブリストル大学(University of Bristol)のパートナーと協力し、プレシオサウルスの推進法を分析した。プレシオサウルスは、恐竜と同時期に生存し、6500万年以上前に死滅した海生爬虫類。
 プレシオサウルスは、2対のほぼ同じフリッパーを使って水中を泳ぐ。一方、他の動物は、カメやアシカなど既存の種を含め、前と後のフリッパーは異なる構造になっており、前のフリッパーは主に強く推すために、後は舵をとるために使う。
 しかし、プレシオサウルスの推進動力学は、1950年代から様々な理論が提案され、議論が続いていた。
 Proceedings of the Royal Society B誌に発表された論文では、研究チームは、一連の動きの組合せを真似るためにロボット機構に3Dプリントしたフリッパーを取り付けた水槽実験を報告している。
 研究チームは、プレシオサウルスの化石と、既存のフリッパーで推進力を得る動物のX線を調べた。これにより、ロボット機構が再現するのに必要な大きな翼状のフリッパーと一連の動きを決めた。
 前のフリッパーによって生ずる水中の渦巻運動が主要な押出し力を強め、後のフリッパーによって効率的になることが分かった(押し出す力は最大60%、効率は最大40%増加)。このことは、プレシオサウルスは4枚のフリッパー全部を使って水中を泳いでいたことを示唆している。
「動物がどのように動いていたかを理解することは、動物全体の理解促進になる。たとえば、動物がどこまで移動できるか、どんな獲物を捕らえることができ、何の餌食になっていたかなどである」と、PhD学生Luke Muscuttは説明している。
 「プレシオサウルスのようなタンデムフリッパーシステムに対するわれわれの理解は、最終的には現実世界のアプリケーションになる、たとえば、より操作性が優れた、効率的で静かな水中船の推進システムである」。
 プレシオサウルスは、中生代2億2000万~6600万年前に、ほぼ世界中の海に分布していた。
(詳細は、www.southampton.ac.uk)