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エルビウムベース集積フォトニクスデバイスの可能性に見通し

August, 2, 2017, Tempe--アリゾナ州立大学の研究チームは、希土類金属エルビウムを光増幅の利得材料として用いてブレイクスルーを達成した。この成果は、微小チップ光技術で初めて利用可能になる。また、光集積の分野で10年来の目標達成である。光集積では、パフォーマンス向上と製造のしやすさのために、多様な微小光コンポーネントが緊密に結合されている。
 研究チームは、エルビウムの光利得を一般的な1㎝伝搬あたり数dBから100dB以上にあげることに成功した。光利得のこのような大きな増加により、エルビウムベースの材料を光増幅器やレーザとしてチップに集積することが可能になる。
 2011年、細いナノワイヤとして開発した特別なエルビウムケイ酸塩がフォトニクス増幅材料として優れた候補となり得ることをCun-Zheng Ning電気工学教授のチームが発見した。光増幅器、レーザ、量子情報デバイス、スイッチや太陽電池に1000倍のエルビウムを詰め込むことができる。
 研究チームは、集積フォトニックシステムの微小なチップなど、小さなプラットフォームのエルビウムによる信号増幅を実現しようとしていた。チップスケールの集積には、一般的なエルビウム添加ファイバの増幅量は小さすぎ、必要なファイバ長は長すぎると言う問題をNingの新しい研究が解決した。
 エルビウムナノワイヤ技術の発見から数年かかったが、研究チームは固有の吸収係数を示すシングルナノワイヤで、細心の注意を要する実験を行った。このプロセスにより、材料の吸収が初めて正確に計測され、続いて極めて高い光利得、以前報告されたエルビウム材料よりも約2ケタ大きな利得が確立された。
「この新しい単結晶ナノワイヤ技術をベースにして、われわれの次の目標は多数のデバイスをシリコンプラットフォームに集積し、集積光回路を実現することである」とNing氏はコメントしている。