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NTT、シリコンプラットフォーム上に高性能な光変調器を実現

July, 21, 2017, 東京--日本電信電話(NTT)は、将来の光通信用集積回路の作製プラットフォームであるシリコンフォトニクス技術を用いた光変調器にインジウムリン系化合物半導体を融合した小型・低消費電力・低損失な光変調器を開発した。変調領域長が0.25mmの素子において、従来型シリコン光変調器の約10倍の変調効率を挿入損失1dBの低損失で実現。また、32Gbpsの実用上十分な速度での変調動作も確認した。
 開発した技術はシリコンフォトニクス技術と高い親和性を有している。この技術を利用すれば、今後予想されるあらゆる伝送距離でのトラフィックの増大に対応できる複数の光変調器と光フィルタを含む光集積回路を低コスト・低消費電力に実現できる。
 成果は、「Nature Photonics」のオンライン速報版で公開された。
 シリコンは他の材料と比較して光を変調するには不向きな材料であり、変調効率を高くすると吸収損失が増加するというトレードオフがある。そのため将来的なプラットフォームとして用いるには適用範囲に制限があり、このトレードオフを打破することが強く望まれていた。
 NTTでは、シリコンフォトニクス技術にInP系化合物半導体とシリコンの異種材料融合技術を適用したキャリア蓄積型のマッハツェンダ光変調器を開発し、このトレードオフを打破した。キャリア蓄積型光変調器はシリコンを用いた光変調器で広く用いられているキャリア引抜型光変調器と比較すると高効率化を実現でき、これまでシリコンとポリシリコンを用いた素子が開発されている。この素子では、キャリア濃度の増加と、ポリシリコン層の吸収による光損失が課題で、従来のシリコン光変調器の限界は打破できていなかった。
 今回開発した光変調器では、ポリシリコンよりも変調効率が高く光損失も少ないInP系化合物半導体であるn型InGaAsP薄膜を用いることで、シリコンフォトニクス技術との親和性を保ちながら高効率・低損失化を同時に実現した。作製したマッハツェンダ光変調器は、変調効率を表す半波長電圧と変調領域の長さの積が0.09Vcmとなり、これはシリコンのキャリア引抜型光変調器の約10倍の高効率。また、位相変調領域長0.25㎜の素子で挿入損失1dB(透過率約80%)の低損失化も同時に実現しており、これまでのシリコン光変調器の限界を打破することができた。また、32Gbpsの変調を行い、100GbE等に適用可能であることを確認した。
(詳細は、www.ntt.co.jp)