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Science/Research 詳細

400G信号のマルチバンド大容量伝送向けオールラマン光増幅技術実験

June, 2, 2017, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、西日本電信電話株式会社と協力し、現在広く敷設されている光ファイバケーブルにおいて、伝送路の中継器に「オールラマン光増幅技術」を適切に用いることで、400Gbps信号をマルチバンドで光伝送するフィールドトライアルに成功した。さらに、既存帯域の信号に影響を与えずに新しい帯域の信号を追加できることも確認した。
 この成果を用いることにより、将来データセンター間通信などで大容量伝送の需要が生じた場合に、既設ファイバを利用しながらインサービスで使用可能帯域を広げ、30Tbps級の超大容量伝送に対応可能となる。
 NTTは、既存帯域(Lバンド)と拡張帯域(Cバンド)の両方の光信号を「オールラマン光増幅技術」を適用することにより、既設のDSFケーブルを用いてWDM光伝送の波長間隔を等間隔にしたまま、十分な伝送マージンを確保して200km伝送することに成功した。既存帯域と拡張帯域とを合わせて、使用可能帯域は2倍になる。実験では400Gbps信号を、16QAM変調した2波長を多重することで構成した。
 四光波混合(FWM)による信号劣化は、伝送路中の光パワーに依存するため、低い光パワーで伝送できるほど低減することができる。オールラマン光増幅技術は、一般的なEDFA(Erbium-Doped optical Fiber Amplifier)を用いた光増幅に比べ、伝送路中の信号光パワーを低くして伝送することができる技術。この技術を用いて、Cバンドにおいても波長間隔を等間隔に配置したまま非線形効果を抑制し、周波数利用効率を高めることができた。
 また、ラマン増幅を用いる場合、高いパワーの励起光を用いるため安全面への配慮が必要となる。今回はIECの基準に則った実用レベルの安全性を確保しつつ、実証実験を実施した。さらに実験ではラマン光増幅を適切な条件で制御することで、Lバンドに配置している光信号の伝送品質に影響を与えずにCバンドに光信号を増設できることを確認した。これにより、既設ファイバにおいてマルチバンド化する際、新たなCバンド光信号をインサービスで追加収容可能なことが確認できた。
(詳細は、www.ntt.co.jp)