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新しい赤外発光デバイスにより排熱からエネルギー収集

April, 28, 2017, Washington--完全に制御可能な方法で熱赤外光パターンを発生する新しい再設定可能なデバイスは、いずれ、排熱を赤外波長で収集し、それを利用可能なエネルギーに変えることができるようになる。
 新技術は、熱光起電力の改善のために使用できる。熱光起電力は、従来の太陽電池が吸収する可視光よりも、赤外光、つまり熱を利用するタイプの太陽電池。研究者は、ガラス工業で使用される炉やキルンの周囲など、高温部で見つかる熱エネルギーを収集できる実用的な熱光起電力を開発しようと取り組んできた。これは、自動車エンジンからの熱をエネルギーに変えて、例えば車のバッテリを充電するためにも利用できる。
「赤外エネルギー放出、強度は制御可能であるので、この新しい赤外エミッタは、熱からのエネルギーを集めて利用する特定目標の方法にもなる」とデューク大学(Duke University)のWillie J. Padillaは説明している。
 新しいデバイスは、メタマテリアルをベースにしている。これは合成材料で、天然材料では得られないような新奇の特性を示す。研究チーム(Padilla と院生 Xinyu Liu)は、高効率に赤外波長を吸収して放出するために設計されたメタマテリアルを使用した。それを電気制御のMEMSの動作と組み合わせることで、研究チームはピクセルごとに素早く変更できる、赤外発光特性を持つ初のメタマテリアルデバイスを作製した。
 新しい赤外発光デバイスは、個別に制御可能なピクセルの8×8アレイで構成されており、個々のピクセルは120×120µm。研究チームは、赤外カメラで見える”D”を創ることでMEMSメタマテリアルデバイスを実証した。
 開発した赤外エミッタは、様々な範囲の赤外強度が可能であり、110kHzまでの速度でパターンを表示可能である。この技術の拡大により、戦闘中に敵と味方を判別する動的赤外パターンを生成するために使用可能である。
可変赤外放射を達成するために一般に使用されている方法とは異なり、新しい技術は温度を変えることなく可変赤外エネルギーを放射する。材料は加熱も冷却もされないので、デバイスは室温で使用可能。他の方法は、高い動作温度を必要としている。天然材料での実験は室温で成功しているが、それらは赤外スペクトル範囲が限られる。
 新しい再設定可能な赤外エミッタは、パターン化された金属メタマテリアルの可動最上層と、静止したままの底部金属層でできている。デバイスは赤外フォトンを吸収し、その2層が触れる時に、高効率でフォトンを放出し、2層が離れると赤外エネルギーの放出は少なくなる。印加電圧が最上層の動作を制御し、放出される赤外エネルギー量は、正確な印加電圧に依存する。
赤外カメラを使用して研究チームは、温度変化が約20℃相当の強度範囲でMEMSメタマテリアル表面から出る赤外フォトン数を動的に変えた。
 研究チームによると、最上層に使用するメタマテリアルパターンを変え、個々の強度を変えることができる別の色の赤外ピクセルも作れる。これにより、TVで使用されるRGBピクセルと同じ赤外ピクセルの作製が可能になる。研究チームは、128×128ピクセルのデバイス作製することでその技術の拡張に取り組んでいる、