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Science/Research 詳細

コロンビア・エンジニアリング、導波路の光伝搬制御法を開発

April, 21, 2017, London--コロンビア大学工学・応用物理学(SEAS) Nanfang Yu准教授をリーダーとする研究チームは、ナノアンテナを使って、導波路内を伝搬する光を高効率に制御する方法を開発した。この技術を実証するために、チームは記録的に小さなフットプリントで、これまでになく広い波長域で最適性能を維持するフォトニック集積回路(PICs)を作製した。
 PICsは、光導波路を伝搬する光をベースにしており、その光伝搬の制御はこのようなチップ作製では中心的問題である。研究チームの方法は、光チップをより高速に、強力に、効率的にするものであり、光通信や光信号処理に変革をもたらす。
 Yu氏によると、研究チームは、最小フットプリント、最大動作帯域の集積ナノフォトニックデバイスを実現した。「ナノアンテナの助けを借りてフォトニック集積デバイスのサイズを微小化できたレベルのは、1950年代に大きな真空管を小さな半導体トランジスタで置き換えたのと同様である。この成果は、導波路内を伝播する光を最も効率的な方法でいかに制御するかという基礎科学問題にとって革命的なソリューションである」と同氏はコメントしている。
 導波路を伝搬する光波の光パワーは、導波路コアに閉じ込められている。導波には、導波路表面近くに存在する小さなエバネセント「テイル」を介してしかアクセスできない。この捕まえにくい導波は、取り分け操作が難しいので、フォトニック集積デバイスはたいていの場合サイズが大きくなって場所をとり、チップのデバイス集積密度を制約する。フォトニック集積デバイスの縮小は、研究者が克服すべき第一の課題である。
 導波路で光をコントロールする最も効率的な方法が、光ナノアンテナによる導波路をの「デコレート」であることを研究チームは確認した。これら微小アンテナは導波路コア内部から光を引き出し、光の特性を変更して導波路に戻す。ナノアンテナの稠密パックアレイの累積効果は非常に強く、波長の2倍程度の伝搬距離内で導波モード変換などの機能を達成できる。
 「導波モード変換を達成するための従来のアプローチが波長の数千倍の長さのデバイスを必要とすることを考えれば、これはブレイクスルーである。われわれはデバイスのサイズを10~100倍縮小することができた」とYu氏は話している。
 研究チームは、ある導波モードを別の導波モードに変換できる導波モードコンバータを作製した。これらは、「モード分割多重」(MDM)技術を可能にする重要要素である。光導波路は、基本的な導波モードと一連の高次モードをサポートできる。MDMは、光チップの情報処理力を大幅に増やす方策である。同じ色の光を使うが、複数の異なる導波モードが同時に複数の独立した情報チャネルを伝送する、しかも同じ導波路を使う。
 Yu氏は、次にアクティブに可変できる光学材料をフォトニック集積デバイスに組込み、導波路で光伝搬をアクティブ制御できるようにする計画である。そのようなアクティブデバイスは、拡張現実(AR)グラスの基本的要素になる。
(詳細は、www.columbia.edu)