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サンディア国立研究所、III-V半導体を使う光メタマテリアル

April, 4, 2017, Albuquerque--メタマテリアルは、様々なアプリケーションで可能性があるが、金属ベースもシリコンベースも商用利用には問題がある。サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)の研究チームは、III-V半導体をメタマテリアルの基礎的要素として利用する方法で先行している。
 サンディアの研究チームは、これまでにGaAsおよびAlAs材料で取り込んだ論文を発表している。これらは光メタマテリアルでは金属よりも効率がよく、シリコンよりもバンドギャップが広い。
 新しいサンディアの誘電体材料は、単に効率が良いだけではない。入力エネルギーをほとんど失うことなく、多層製造により複雑な3Dメタアトムを形成することができる。これは、通常赤外反射率では究極の物質と考えられている光る金表面よりも光の反射率が高い。そのIII-V材料は、励起すればフォトンの放出も可能、これはシリコンではできないことである。
 もう1つの利点は、そのきわめて多様な出力、波長スペクトルに広がる出力である。したがって、それらはレーザの波長範囲を広げるために使用できる、あるいは量子コンピューティング用に「エンタングルフォトン」生成にも使える可能性がある。
 サンディアのアプローチは、人工の原子、すなわちメタマテリアルの最重要部である共振器を比較的簡単に形成できる点で魅力的でもある。
 研究チームが作製したメタアトムは、直径が数100ナノメートルであり、多数の実際の原子でできている。改善の1つは、周囲のこれらの小さな集団を酸化して、低屈折率の層状被覆を作製したことである。ここでは、高価な、時間のかかる「フリップチップ」ボンディングプロセスを用いない。
 酸化した低屈折率表面は、高屈折率コアを取り囲んでいる。
 Gordon Keelerは、III-V材料を加熱炉に入れ、サンプル上に水蒸気を流すことにより酸化を制御した。「これにより、一定率で酸化が起こる。材料が多ければ多いほど、時間はかかる」とSheng Liu氏はコメントしている。
 研究チームは、シリンダー型と立方型ナノ構造で実験を行った。立方型の対称性を抑制することで特性はさらに改善された。
「シリンダー型は製造が遥かに容易であり従来のメタサーフェスで一般に利用できるが、対称性の崩れた立方型は、非常に鋭い共振を得るためには重要である。これが論文の要諦である」とIgal Brener氏は説明している。
 立方型共振器ナノ構造の対称性を意図的に崩すアイデアは、5、6年前に遡る。研究チームが特殊な製造欠陥を真似ようとしてメタアトムの計画的な対称形状を偶然に壊してしまった設計である。
 「マイクロ波から、赤外、光メタマテリアルに行けるかどうかを見るために立方共振器を作製している時、リソグラフィエラーの影響をシミュレートしようと共振器の形状を検討していた。あるシミュレーションで、偶然に立法の角をカットした、すると突然、非常にシャープな反射バンドが現れた」とMike Sinclairは説明している。
 その発見の前には、誘電体共振器メタマテリアルは、あまり多くのエネルギーをトラップしないブロードなバンドを示すだけだった。研究チームは、新しいシャープな共振により、エネルギーの蓄積が拡大できることを見出した。これは効率的な周波数変換に、おそらくは光放出やレーザ発振にも有益である。