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光照射した極低温の半導体で異常な金属状態を発見

February, 14, 2017, 東京--東京大学低温センター、大学院理学系研究科物理学専攻の島野亮教授、関口文哉特任研究員(当時)、東京大学物性研究所秋山英文教授らは、米国プリンストン大のグループと共同し、テラヘルツ波(0.3㎜程度)という電磁波を用いて、半導体GaAsを対象に励起子モット転移を詳しく調べた。
 特に、結晶を液体ヘリウムで温度5 K(-268 ℃)まで冷却し、さらに光を照射しても電子系の温度が上がらない工夫をして調べ、過飽和状態の励起子から励起子モット転移を経てできた極低温の金属状態は、金属相であっても電子と正孔がお互いに引力を及ぼしあって、自由に動きづらくなった異常な金属の状態にあることを発見した。さらに、観測された異常金属状態が、約半世紀前に理論的に予測されながら未だ明確な実証がなされていない電子正孔BCS状態の前兆である可能性を提示した。
 異常金属相は、高温超伝導体を含む強相関電子系でモット転移の境界領域に現れることがすでに知られてしたが、今回の研究成果のように光励起された半導体の電子正孔系で観測された例は初めてで、モット転移の普遍的な性質を反映していると考えられる。励起子モット転移の理解が進むことで、電子正孔BCS状態などの新しい電子相の探索や、新しい光機能の開拓が進むことが期待される。
 研究成果「nomalous metal phase emergent on the verge of an exciton Mott transition」は、Physical Review Lettersに発表済み。
(詳細は、http://www.crc.u-tokyo.ac.jp/press/1701.html)