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微弱な温かい光(近赤外光)を青色光に変換するナノ粒子の開発に成功

February, 2, 2017, 東京--青山学院大学理工学部 長谷川美貴教授・石井あゆみ助教の研究グループが、希土類と有機分子の階層型に吸着したナノ粒子の構造が、非常に輝度の低い赤外線を青色の光に変換することを発見した。
 希土類にはツリウムとイッテルビウムを用い、古来から染料として用いられていたマヤブルー系色素との融合で従来にない光エネルギー変換材料開発に成功した。この成果はScientific Reportsに掲載された。

 青山学院大学理工学部化学・生命科学科の研究チームは、太陽光程度の微弱で低いエネルギーの光(近赤外光)を高いエネルギー(可視光)に変換する、いわゆるアップコンバージョンを発現するナノ粒子の開発に成功した。
 この粒子は、ツリウム(Tm)酸化物のナノ粒子を核として用い、層状に別の希土類(ここではイッテルビウム(Yb))で包んだ構造を持っており、さらにその界面で有機化合物を化学結合で接着している。この界面における有機化合物と希土類の結合からなる化合物は、界面錯体とよばれる。これまで希土類を用いたアップコンバージョン材料は、レーザなどの強い光源を必要としていたので、エネルギーの損失が大きく、そのほとんどが無機誘電体に希土類イオンをドープした複雑な構造であった。これに対して、この研究は、YbをTm酸化物ナノ粒子表面に薄く固着し、さらに有機分子で覆ったシンプルなしくみを用い、太陽光よりも微弱な近赤外領域の光照射により、青色のアップコンバージョン発光を促すことに世界で初めて成功した。
 この成果により、太陽光スペクトルの中でもエネルギー源としての利用が難しい近赤外の光を可視光に変換することができ、将来的に太陽電池や人工光合成、光センサなどにおける太陽光の利用が波長領域の拡張も加味したエネルギー変換効率の飛躍的な向上が期待できる。なお、このエネルギー変換の仕組みの要となるナノ粒子の構造解析は、SPring-8のビームラインBL02B2により行った。