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「光熱効果」を利用して生きた細胞を見るイメージング

October, 6, 2016, West Lafayette--新しいタイプのイメージング技術が、生きた細胞や生命体を可視化するために使うのはスペクトルの中赤外部分と「熱レンズ」。これは、薬剤送達やガンの処置を見ることができるイノベーション。
 赤外分光イメージングは、研究や乾いた組織サンプルに限定される。水分子が赤外光を吸収し、干渉するからである。同時に、その技術は高解像度イメージング能力がなく、層状の領域を可視化できない。この点は、生物細胞などの3Dサンプルの詳細な研究に不可欠である。
 パデュー大学Ji-Xin Cheng教授によると、中赤外光熱(MIP)アプローチは、2年の研究で、こうした限界を克服した。
 研究では、そのシステムを使って脂肪滴、病気の重要なバイオマーカーや、培養検査、またシー・エレガンス内のの生きた細胞内部の薬剤を可視化した。
 同システムは、「ラベルフリー」イメージングであり、蛍光染料を必要としない。
「これは、薬剤送達経路、ガンや他の病気を処置するための薬剤の作用の理解にとって重要である。薬剤は小さな分子であり、蛍光ではないので、この方法は細胞や組織の中で薬剤分子を特定し、発見する方法を提供してくれる」(Cheng教授)。
 Cheng教授によると、MIPイメージング技術は、生体組織の代謝活動モニタリングから薬剤分子の高解像度マッピングまで幅広いアプリケーションに有望であり、これは現在の赤外顕微鏡の及ばないところである。
 MIPは、中赤外光を組織に照射し、熱を生成し、「熱レンズ効果」を作り出すことで機能する。
 ポスドク研究助手、Delong Zhang氏によると、「それは暑い夏の日に路面上に見える蜃気楼効果と同じ」である。
赤外波長は大きいので、生きた細胞や生物の内容の化学的な細部を解像することはできない。
「したがって、われわれはさらに短波長の第2レーザを使う。これは、サブミクロンの空間分解能であり、従来の赤外顕微鏡よりも10倍優れている。この解像度は、細胞内構造を見るために不可欠である」とChengは話している。「光熱スペクトルを作り、それが分子情報を提供する」。
同システムは、「マイクロモル」濃度で化学組成を計測し、これによって薬剤分子のモニタリング、細胞内の代謝活動のモニタリングが可能になる。