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ANU、わずかな不純物でナノレーザ改善

July, 12, 2016, Acton--オーストラリア国立大学(ANU)の研究チームは、不純物を加えることで微小レーザの性能を向上させた。これは、ローコストの生物医療センサ、量子コンピューティング、より高速のインターネット開発の中心となる発見である。
 Tim Burgessは、人の髪の毛の1/100のGaAsレーザに亜鉛原子を加えた。その不純物が、レーザからの光の量を100倍改善させた。
「通常、GaAsナノ結晶から光を得ようとは考えないが、われわれはまず電気伝導性改善を目的に亜鉛を加えた。たまたま発光を調べたときに、その効果が分かった」とANUのPhD学生、Burgessは説明している。。
 GaAsは、PVセル、レーザ、LEDsで使用される一般的な材料であるが、それが発光するには表面コーティングが必要になるので、ナノスケールでの動作は難しい。以前のANUの研究で、適切なコーティングの仕方が示された。
 「新しい成果は、ナノ構造内で生成される光の量を増やすことでこうした成功を補完することになる」と、ANU物理科学部Chennupati Jagadish教授、研究リーダーは話している。
「それは素晴らしい発見であり、増強された発光をもつ他のナノ構造に研究機会を開く。われわれはレーザのサイズをさらに縮小することができるようになる」と同教授はコメントしている。
 Buressによると、GaAsに不純物をドープすることによる成果は発光改善だけではなかった。
「ドープされたGaAsは、わずか数psの非常に短いキャリア寿命を持つ。このことは、この素子が高速エレクトロニクスコンポーネントでの利用に適していることを意味する。ドーピングによって、このようなナノレーザは、最先端のパフォーマンスを実現した」と同氏は話している。
(詳細は、Nature Communications)