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EPFL、レーザで生体組織工学の主要限界を克服

June, 30, 2016, Lausanne--スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)が開発した新技術は、微少流体技術(マイクロフルイディクス)とレーザを組み合わせて3D空間で細胞をガイドし、生体組織工学の主要な限界を克服するものである。
 未来の医学は、チップ上の器官やオルガノイド、幹細胞から成長した微小器官などの広範な生体組織工学技術を含むことになる。しかしこのすべては単純だが困難な作業、細胞挙動の3D制御の上に予測されている。これまで、ほとんどの細胞培養アプローチは2D環境(e.g.ペトリ皿、チップ)に限られているが、それは実際の生物学に適合することもなく、組織や器官の作製に役に立たない。EPFLの研究者は、レーザを使って生体適合ゲルにパスを彫り込み、局所的に細胞機能に影響を与え、組織の形成を促進する新しい方法を開発した。研究成果は、Advanced Materialsに発表されている。
 身体では細胞は組織タイプごとに特有の3D微小空間で成長する。肝臓、腎臓、肺、心臓、脳など。これら微小環境が細胞挙動をコントロールすので、それらは重要である。例えば、発展、機能、修復に役立てるために組織の他の部分とどのように相互作用するか。加えて、微小環境そのものは非常に動的で適応的であり、細胞はその挙動を生理学的変化に適応させるために様々な生化学的な信号を送り出す。
 このことは、生物学と工学の融合成功には、まず特注ではあるが生物学的に活発な3D空間で細胞が成長できなければならないことを意味する。EPFLのバイオエンジニアリング研究所のMatthias Lütolfと同氏のPhD学生Nathalie Brandenbergは、ハイドロゲルスカフォールド内部の細胞がその自然環境に適合するように、3D経路とネットワークを作製するためにレーザを使う方法を開発した。
 方法はレーザとマイクロフルイディクスを結び付けたものである。マイクロフルイディクスは、マイクロメートルサイズの空間で流体を制御する科学。ここでは、研究チームは、集光した短パルスレーザを用いた。短パルスレーザは、細胞生物学や組織工学ですでに用いられている多様な生体適合ゲルに微小なトンネルを形成できるだけのパワーを生成する。レーザは、3D細胞培養前、あるいはその最中にも適用可能。つまり、細胞はリアルタイムでコントロールしてその自然成長に適合させることができる。
 一方、マイクロフルイディクスは、組織工学の要となる。その技術によって細胞の微小環境のコントロールが前例のないレベルで可能になり、生物学的微小環境の複雑な適合をエミュレートでき、挙動を調整する信号を薬剤や他の化合物の形で細胞に輸送できる。
 マイクロフルイディクス自体は、細胞を成長させるための細胞培養系構築に広範に利用されている。しかし、マイクロフルイディクスは、主に2D細胞培養アプリケーションに限られていた。また、長期の培養に適用することは簡単ではない。3D培養でマイクロフルイディクスを使う研究では、成功したものもあるが、それらは多段の労働集約的なステップを必要とし、標準的なアプリケーションには非効率である。しかし、マイクロフルイディクスとフォトアブレーション(レーザ)の柔軟性を結び付けることで、研究チームは簡単でロバスト、多様なアプローチを実現することができた。