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ブラウン大学の研究者、テラヘルツ照射用の新しいレンズを開発

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March, 25, 2016, Providence--ブラウン大学のエンジニアは、スタックした金属プレートアレイを使ってテラヘルツ照射を集光する方法を考案した。これは、テラヘルツイメージング、次世代データネットワークに有用であると考えられる。
 テラヘルツ照射は、比較的研究が進んでいない電子スペクトルであるが、数知れない新しいイメージングアプリケーション、極めて高帯域の無線通信ネットワークとして有望である。問題は、テラヘルツ波を操作するための市販コンポーネントがほとんで存在しないことである。
 ブラウン大学工学部の研究チームは、テラヘルツ照射(100~10000GHz)を集光するために新型レンズを開発した。間にスペースを持つ、スタックされた金属板アレイでできたレンズは既存のテラヘルツレンズよりも性能が優れており、デバイスの構成に用いられているアーキテクチャが、現在存在しない、広範な他のテラヘルツコンポーネントのお膳立てをすることになる。
 イメージング、ワイヤレス通信あるい他の何であれ、テラヘルツを用いるフォトニックシステムにはレンズが必要になる。「われわれは、テラヘルツ照射を集光する新しい方法がほしかった」と工学部教授、Dan Mittlemanはコメントしている。
 ほとんどのレンズは、材料の屈折特性を用いて光エネルギーを集光する。例えば、メガネは凸状ガラスを用いて可視光を曲げ、それをある点に集光する。しかし、この新しいテラヘルツレンズでは、使われる材料の特性、材料のアレンジの仕方も重要ではない。研究リーダー、工学准教授、Rajind Mendisは「ここで重要なのはそのアーキテクチャである」と言う。
 その新しいデバイスは、32の金属板でできており、それぞれが100µm厚で、各プレート間の間隔は1㎜である。プレートは、1つのエッジに異なるサイズの半円の切込みが入れてあり、水平にスタックするとそのノッチがデバイスの片側に3Dのくぼみを形成するようになっている。テラヘルツビームがデバイスの入力側に入ってくると、ビームのスライスがプレートの間の空間を進む。デバイスの凹型出力サイドがビームスライスを様々な度合いに曲げ、スライスすべてがある点に集光される。
 この新しい研究で開発された構成を使うと、研究チームは2㎝径のテラヘルツビームを4㎜の点に集光することができた。デバイスを透過した放射は約80%だった。それは、シリコンレンズよりも大幅な改善となり、テフロンでできたレンズと同程度。シリコンでは、伝送損失は一般に約50%。
 しかし、新しいデバイスは、既存のテフロンレンズに対していくつかの利点がある。特に、プレート間の間隔を変えることで新しいデバイスは、特定のテラヘルツ波に調整できる、これは既存のレンズでは不可能な点である。
 「1つの周波数でイメージングし、他の周波数は使いたくないなら、そのような調整は特に面白い。ここで重要なことの1つは、このデザインが、単なる曲面の塊ではできないような多様性を提供できるということである」とMittlemanは話している。
 テラヘルツ照射を操作するために間隙を持つ金属プレートを用いる技術は、現在存在しないような他のタイプのコンポーネント実現にも使えるということを今回の研究は示唆している。金属アーキテクチャはプラスチック(誘電体)を真似ているので、この材料技術は「人工誘電体」と呼ばれている。
 Mendisによると、同じ技術がテラヘルツ波用の偏光ビームスプリッタ実現にも利用できる。これは、偏向状態に応じて波を分けるデバイス。そのようなデバイスを使うと、テラヘルツフォトニックシステム用の基本的な論理ゲートの実装が可能になり、バイナリ(1と0)論理状態を2つの偏向状態に割り当てることができる。それは、テラヘルツデータネットワークの重要なコンポーネントになりる。