コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

世界最小電力、サーバ間の光通信向け次世代56Gbps送受信回路を開発

February, 5, 2016, 東京--富士通研究所(Fujitsu Laboratories Ltd)と、ソシオネクスト(Socionext Inc)は、サーバやスイッチで使用される半導体チップと光モジュール間のデータ通信において、従来と比べて2倍高速となる1チャネル当たり56Gbpsの通信速度を実現する、世界最小電力の送受信回路を開発した。
データセンタの処理能力向上に伴ってサーバ間のデータ通信を高速化する要求が高まっているが、設備が供給できる電力量には制約があるため、低消費電力化も同時に求められている。
 両社は、通信速度の向上に伴って顕著になる信号の劣化を補償する回路と、入力信号のビット値を判定するタイミングを検出する回路の一部を共通化できる新しいタイミング検出方式を開発し、回路数を削減することができた。これにより、消費電力を増加せずに、従来と比べて2倍高速となる56Gbps送受信回路の開発に成功した。
 この技術により、消費電力を増加させることなくチップと光モジュール間のデータ通信を高速化することができるため、次世代サーバやスイッチなどの高性能化が期待される。
 DFE演算後の波形を分析した結果、連続する3ビットの入力信号が100または011となる場合において、DFEの2つの判定回路の結果を比較することでDFEの動作タイミングの進み、遅れを検出できることがわかった。これにより、連続する3ビットの入力信号が100または011となるときだけタイミングを検出する、新しいタイミング検出方式を開発。開発したタイミング検出方式により、従来必要であったCDRの入力信号のタイミング判定回路を削減でき、加えて、DFEとCDRでタイミングが異なっていたために別途必要だったクロック線などの配線も不要になった。これにより、従来と同じ消費電力で2倍高速となる、56Gbpsの送受信回路の開発に成功した。
 この技術により、従来に比べて消費電力を増加させることなくチップと光モジュール間のデータ通信を高速化することができる。また、光モジュール通信のOIF次期規格にも対応しているため、現行の28Gbps規格で400Gbps Ethernetを構築する場合、16個の送受信回路が必要なのに対して新技術では半分の8個で実現でき、光モジュールの小型化・低電力化も期待される。
 富士通研究所とソシオネクストは、開発した技術をサーバやスイッチのチップと光モジュール間のインターフェース部などに適用し、2018年度の実用化を目指している。