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世界最高速クラスの大型鋳造用砂型3Dプリンターを製品化

May, 8, 2018, 東京--NEDOプロジェクトの成果をもとに、シーメット(株)は、毎時10万cm3の世界最高レベルで造形する大型鋳造用砂型3Dプリンターを製品化した。同製品は、同社従来製品に対し、造形速度10倍の高速化と造形サイズ10倍の大型化に加え、造形後の後工程作業時間の半減を実現した。
 シーメットは、同社が展開する砂型3Dプリンター「Sand Casting Meister」シリーズのラインアップに今回開発した大型機「SCM-1800」を加え、5月7日から販売を開始し、産業機械、自動車などのさまざまな分野における鋳造現場の生産性向上に貢献する。

今回製品化する高速大型鋳造用砂型3Dプリンターの特徴
1.鋳造用砂型3Dプリンターとして世界最高レベルの造形速度
開発装置はバインダジェット方式で、造形速度の向上には、積層工程1層ごとの動作時間を短縮する必要があり、リコータ(砂を敷きつめる部品)の高速化・双方向化、プリントヘッドのラインヘッド化と高速化・双方向化、プリントパターンデータの転送時間短縮などにより、従来の10倍の造形速度での高速連続動作を実現した。

2.高性能かつ作業性に優れた乾式砂と1液方式
開発装置は、固体触媒をコーティングした砂(CCS)に、プリントヘッドから有機バインダを噴射して反応硬化させる1液式を採用し、使用材料として乾式砂を用いることで、造形後の後工程の作業時間を1/2に短縮するなど、高性能かつ作業性に優れている。利点は以下のとおり。
・高流動性:砂を敷く際の流動性が低下しないため、凝集しやすい球形の人工砂が適用可能であり、高耐火性を利用して、鋳込み温度が高い鋳鋼にも対応可能
・高強度:硬化反応を阻害する溶媒を減らせるため、短時間で高い鋳型強度が得られる
・付帯作業性:造形後の硬化部分と未硬化部分の分離が良く、エア噴射などによる砂除去作業が容易
・砂再使用:造形部分以外の未硬化砂は、そのまま回収して再使用が可能

3.鋳型の量産設備としての可能性
砂型3Dプリンターは、多くの優位性を有していても、生産性の問題から、鋳型の量産設備としては考えられてこなかったが、今回開発の装置では、1800mm×1000mm×750mmの造形サイズと10万cm3/hの造形速度を実現したことにより、たとえば、自動車部品に用いられる小型の中子の場合、この装置1台で可能となる月産の量産数は、以下のように試算され、量産設備として従来工法に対する高い競争力が見込まれる。
・ターボチャージャ中子:一晩(約14時間)で約460個(月産約10000個に相当)
・シリンダヘッド中子:一晩(約14時間)で約100台分(月産約2200台分に相当)

(詳細は、www.nedo.go.jp)