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85℃まで28Gbps安定動作する半導体レーザの量産開始

October, 28, 2016, 東京--ルネサス エレクトロニクスは、データセンター内に設置されるサーバとルータ間の通信に用いられる100Gbps光トランシーバ用光源に、25Gbps×4波長対応直接変調型DFB LD(分布帰還型レーザ・ダイオード)を開発した。ルネサスは新製品を「NX6375AAシリーズ」の名称で、量産出荷を開始する。

 新製品は、高速通信と高温環境下での安定動作の両立が課題となる100Gbpsの高速ネットワーク向け光トランシーバに対し、(1) 業界で初めて-5℃~85℃の動作温度において1波長あたりの容量が最大28Gbpsとなる安定動作特性を量産レベルで実現し、4波長使用することにより100Gbpsの光通信が可能、(2)MTTF(Mean Time To Failure:平均故障時間)10万時間の高信頼性、という特長を有している。

 新製品を採用することでユーザーは、高温環境下でも高速通信が可能で信頼性の高い光トランシーバや光モジュールを開発し、データセンターのサーバやルータへの搭載が可能となる。

 新製品はチップ形態での出荷となり、サンプル価格は1波長あたり5,000円(税別)で、量産は2017年4月に4波長合計で月産10万個を計画している。

 近年話題となっているIoT時代のクラウド・コンピューティングの進展により、インターネットと接続し、大容量のデータを預かるデータセンターの規模・処理容量は、年率59%(ルネサス調べ)の急増が見込まれている。その環境下でデータセンター内のサーバとルータ間の通信に用いられる光トランシーバにおいては、伝送速度の高速化が要求されており、現在主力の40Gbpsから切り替わっていく100Gbpsのシステムが、年率75%(ルネサス調べ)の伸張率で立ち上がると見られている。しかしながら通信速度に比例して高まるシステムの発熱は、システムの稼働状況を不安定にする恐れがあるため、このネットワークの高速化においては、高速通信と高温環境下での安定動作の両立が、光トランシーバにとっての大きな課題となる。

 ルネサスは光通信の速度が10Gbpsであった2004年より同分野に向けて半導体レーザ・ダイオードを市場投入してきた。新製品は今後の通信システムの主力となる100Gbpsのシステムに対応し、上記の課題を解決し、ユーザーの光トランシーバの高速化と高温安定動作の実現に貢献する。

新製品の特長の詳細
(1)業界で初めて動作温度Tc=-5℃~85℃で、1波長あたり最大28Gbpsまでの安定した動作を量産レベルで実現
 新製品は、4波長使用での100Gbpsシステムはもちろん、112Gbpsシステムにも対応可能。
 また、LD素子にルネサス独自の埋め込み構造および材料にAlGaInAsを採用し、DFB構造を最適化することで広い動作温度Tc=-5℃~85℃下で最大28Gbpsの高速伝送を実現している。
 新製品の波長は、CWDM方式の波長間隔対応の1271nm、1291nm、1311nm、1331nmの4種類となっている。

(2)MTTF 10万時間の高信頼性
 データセンター環境下で安心して使用できるよう、ウェハの結晶成長において狭幅選択成長技術を用い、発光層の結晶欠陥を抑制しAl(アルミニウム)酸化防止層を形成(当社独自技術)。製造中にAlの酸化を抑制できるため、LD素子のMTTFは業界トップレベルの10万時間を特長としている。