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富士通研究所とトロント大学、戦略的パートナーシップを締結

September, 22, 2017, 東京--富士通研究所とUniversity of Toronto(トロント大学)は、新しいパートナーシップを締結し、富士通研究所は、量子コンピューティングを中核とする革新的コンピューティング技術の研究開発の強化のために、新たな研究拠点をトロントに設立する。
 現在のコンピューティング技術では、医療、金融、物流、公共政策など様々な分野において、迅速な意志決定が要求されながら現実的な時間で解くことができない極めて複雑な問題が膨大に存在する。この課題に対して、コンピューティング技術の変革のみならず、これを社会に適用するためのソフトウェア開発の双方が必要になる。
 今回の戦略的パートナーシップの締結により、両者がこれまで培ってきた技術を発展させ、実社会における解決が困難な問題を高速に解く量子コンピューティング技術の実用化を加速させる。今後、さらに革新的コンピューティング技術の研究開発に挑み、グローバルな社会、経済、産業などの課題解決に貢献していく。

共同研究の概要
富士通研究所とトロント大学は、まず両者が開発したデジタルアニーラ技術を発展させ、実社会の課題解決に幅広く適応できる規模と機能を拡張する。また、トロント大学で行っている高度な学術的研究を活かして、医療や金融領域などの実社会の問題に適用するための応用ソフトウェアを開発することで実用化を加速する。
 今後、取り組むテーマの一つに、癌放射線治療での放射線量最適化があ。CT画像に基づき癌組織に充分な放射線を照射して正常組織への線量を安全なレベルに保つためには、膨大な最適化計算を行う必要がある。計算中は患者の体を固定する必要があるため、計算時間は数分以内に限定される。この最適化計算を高精度で短時間に実行できれば、治療効果の向上と治療時間の短縮により、安全性を保ちつつ患者の負担を軽減できる。デジタルアニーラの拡張と応用ソフトウェアの開発により数分以内での計算が可能となり、放射線治療技術を変革することができると考えられる。このような取り組みを進めることで、デジタルアニーラ技術を発展させ、実社会への適用を拡大する。
 両者の研究員の密な連携はもとより、北米における革新的なコンピューティング技術の知のエコシステムを両者が核となって形成し、新しいICTビジネスの創出と社会・経済の発展に貢献していく。
(詳細は、www.fujitsu.com/jp)