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ams OSRAMの紫外線LEDが紫外線光の可能性を探求

December, 24, 2021--世界的な新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けて、衛生や病原体に関する意識が高まっている。このパンデミックにより、除菌市場全体の需要が高まり、LED技術は他のアプローチや従来の技術と比較して明確な利点を備えていることが示されている。新しいLED技術の恩恵を受けて、この数か月間で可能なアプリケーションやシステムアーキテクチャの数が大幅に増加している。

ams OSRAMは、長年にわたりUV分野で活動し、UVテクノロジーの深い知識を培ってきた。特に注目すべきは、公的資金で運営されているUNIQUEプロジェクト(ドイツのバイエルン州が資金提供)とUV-Powerプロジェクト(ドイツ連邦教育研究省が「Advanced UV for Life」(AUVL)コンソーシアム内で資金提供)である。どちらのプロジェクトでも、水の浄化などの工業用除菌プロセスにおける、260~280ナノメートルの高出力UV-C LEDの開発に注力した。

2020年12月、最初のUV-C LED、Oslon UV 3636を発売した。まずは低出力と中出力のバージョンで、4.7mWと42mWを達成し、最近では、13.5mWのバージョンがポートフォリオに加わっている。

水の浄化アプリケーション向けのUV-C LED

従来の水銀ランプと比較した場合、LEDはコンパクトかつ堅牢であることが大きな利点である。UV-C LEDは低電流で良好な除菌効果を得ることができる。また、省スペース設計であるため、水栓や空調システムにUV-C光源を組み込むなど、従来の技術では実現できなかった新しい形態のアプリケーションが可能になる。UV-C LEDは点光源と見なすことができるため、光学システムでの使用が容易である。ランプのオン/オフ切り替えは寿命を縮めるが、LEDのオン/オフ切り替えは半導体デバイスの動作寿命には影響しない。

家庭用では、静水の場合通常10〜50mWの値で十分であるが、流水の除菌には50〜500mWの出力レベルが必要となる。飲料水の処理における目標値は比較的に高く、500〜1000mWが必要となる。LEDを光源とする水の除菌については、最初の使用事例がすでにある。大規模なアプリケーションに関しては、数年のうちにLEDが適切なレベルに達すると予想されている。

ams OSRAMの照明技術とセンシング技術を組み合わせ、多様な市場へのアクセスや相乗効果により、潜在的な市場規模の拡大が可能になる。さらに、パートナーと共に、常に新しい破壊的なテクノロジーに取り組んでおり、これまでも、新しいテクノロジーの革新が当社のDNAの一部であることを幾度となく証明してきた。

EQEの未来

UV-C LEDテクノロジーは、確かな研究開発の努力と優れた工業化によって改良されてきた従来のLEDの軌跡をたどると考えている。ams OSRAMでは、UV-C LEDテクノロジーについて今後5年間のロードマップを明確にしており、10年先を見据えた革新の機会を予見している。

今年初めにams OSRAMが出資したBolb Inc.では、すでに最初のブレークスルーが実現している。UV-C LED向けの独自の技術的構成要素により、Bolb Inc.はすでに市場の他社製品よりもはるかに優れた効率値の達成を成し遂げている。

エピ層の構造と品質を継続的に改善し、内部量子効率を20~30%向上させていることに加えて、主な改善の可能性は光取り出し効率(LEE)にある。例えば、いわゆるナノPSSテクノロジーを用いて基板と半導体のインターフェイスにパターニングを追加することで、LEEを40~50%向上させることができ、また、p接点に高反射率のUV-C最適化ミラーを設置することで、LEEをさらに50~70%向上させることもできる。

波長における課題と可能性

LED技術の大きな利点は、微生物への効果に応じて、必要な波長を簡単に変えられることである。除菌効果を高めるには265nmが適しているが、材料の吸収などの問題で最適な波長が変わることがある。この課題を克服することにより、従来の水銀放電ランプと比較して、15%高い効果が得られる。

このスペクトル範囲に対するAlGaN材料系の材料の制限により、まだ解決を要する多くの物理的課題がある。例えば、230nm以下の発光波長に到達するために必要な高いAl濃度では、ドープや光の取り出しが不十分となり、非常に低効率のLEDになってしまう。しかし、AUVLコンソーシアムのプロジェクトパートナー(ベルリン工科大学、Ferdinand Braun Institut für Höchstfrequenztechnik gGmbHおよびそのスピンオフ企業であるUVphotonics NT)の一部は、これらの制限に対処するために材料特性やデバイス設計をさらに最適化する研究活動をすでに開始しており、有望な結果が示されている。また、UVphotonics社は、230nmの発光を持つエンジニアリングサンプルをすでに販売している。そのため、230nm以下の発光波長を持つLEDが数年以内に成熟し、生産されるようになると確信している。

PoUやPoEの水浄化という大きな市場を開拓するための主な課題は、従来の水銀ランプの価格性能比を達成し、最終的にはそれを超えることであるが、これは現在UV-C LEDと比較して大幅に低くなっている。地域の規制を整備し、安全要件に対処して、UV-C LEDの安全で信頼性の高い動作を確約する必要がある。

今後の展望について

新型コロナウイルス感染症をきっかけに、浄化、清潔、健康に対する社会的な関心が高まっている。UV-C照明技術は、今後日常生活に欠かせないものになり、より清潔で安全な世界を実現するソリューションへの関心が継続することが見込まれている。

UV-C LEDの寿命は限られているが、それは初期の照明用LEDも同じで、寿命は技術の発展に伴い延びていく。ここ数年、高品質なLEDの開発を通じて蓄積した経験から、今後数年間でUV-C LEDの寿命も延ばすことができると確信している。

将来に向けて、ams OSRAMは信頼できるパートナーとして、優れたアプリケーションサポートと卓越した研究開発・運営能力により、それぞれのお客様に最適な製品を提供できるよう、ポートフォリオの改善に取り組んでいる。UV-C LEDは、新型コロナウイルス感染症のパンデミック根絶を促進する長期的なソリューションとなる可能性を秘めている。

著者:Christian Leirer博士
ドイツのアウグスブルク大学で物理学の博士号を取得した。OSRAM Opto Semiconductorsのプロジェクト管理や戦略コンサルティングに数年間携わった後、2020年にUV-C LED事業のプロダクトマネージャーとしてOSRAMに入社した。現在はams OSRAMでプロダクトマネジメント担当ディレクターを務めている。

著者:Hans-Jürgen Lugauer博士
1999年にドイツのヴュルツブルク大学で物理学の博士号を取得した。その間、BeZnCdSeをベースとした緑色レーザーダイオードの開発に大きく貢献した。1999年、OSRAM Opto SemiconductorsのR&D部門InGaNエピタキシーグループに加わった。ams OSRAMの開発前グループシニアマネージャーとして、新しいAlInGaNベースの発光デバイスの評価を担当し、現在は高出力UV-C LEDの開発に注力している。