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ペロブスカイトLED、新たな効率記録達成

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November, 13, 2018, Cambridge--ケンブリッジ大学の研究チームは、ペロブスカイト半導体ベースのLEDで、最高のOLEDに匹敵する新たな効率記録を達成した。
 ハイエンド・コンシューマエレクトロニクスで広く利用されているOLEDに比べて、研究チームが開発したペロブスカイトベースのLEDは遙かにローコストであり、可視光から近赤外までのスペクトルを高い色純度で発光するように調整できる。
 研究チームは、100%の内部発光効率に近づくようにLEDのペロブスカイト層を設計した。これは、ディスプレイ、照明および通信の将来アプリケーションとともに、次世代太陽電池にもアプリケーションを広げることになる。
 このペロブスカイト材料は、いずれ商用シリコン太陽電池を置き換えると見られており、高効率太陽電池を作るために発見されたものと同じタイプである。ペロブスカイトベースのLEDはすでに開発されているが、電気から光への変換で従来のOLEDの効率に達していなかった。
 初期のハイブリッドペロブスカイトLEDは、4年前に同大学Cavendish LabortoryでSir Richard Friend教授のグループが初めて開発したもので、有望ではあるが、結晶構造の微小欠陥が原因で生まれるペロブスカイト層からの損失が発光効率を制約していた。
 今回、同じグループと協力者によるケンブリッジの研究グループは、ポリマとペロブスカイトの複合層を形成することで、遙かに高い発光効率を達成できることを示した。これは、薄膜OLEDの理論的効率限界に近い。研究成果は、Nature Photonicsに掲載されている。
 「このペロブスカイト-ポリマ構造は、非発光損失を効率的に除去する。これはペロブスカイトベースデバイスで初めて達成された。両者を混合することで、ペロブスカイト構造の欠陥に起因する電子と正電荷の再結合を基本的に阻止することができる」とCarvendish LabのDr Dawei Diは説明している。
 バルクヘテロ構造として知られるLEDデバイスで使用されるペロブスカイト-ポリマ混合は、2Dおよび3Dペロブスカイト成分と絶縁ポリマでできている。超高速レーザをその構造に照射すると、エネルギーを運ぶ電荷ペアは、2D領域から3D領域に、1秒の1兆分の1で移動し、LEDで使用される初期の層状ペロブスカイト構造よりも遙かに速い。次に、3D領域の分離された電荷が、再結合し、発光が著しく向上する。
 「2Dから3D領域へのエネルギー移動が非常に素早く起こるので、3D領域の電荷は、ポリマで欠陥から分離され、このメカニズムにより欠陥は関与できず、したがってエネルギー損失が阻止される」とDiは説明している。
 「これらのデバイスのベストな外部量子効率は、ディスプレイアプリケーションに関わる電流密度で20%以上であり、ペロブスカイトLEDの新記録である。これは、現在市場に出ている最高のOLEDと同等の効率値である」と論文の筆頭著者、Baodan Zhaoはコメントしている。
 ペロブスカイトベースのLEDが効率でOLEDと肩を並べ始めているが、家電に採用されるにはまだ安定性の改善が必要である。ペロブスカイトベースのLEDが初めて開発されたとき、その寿命はわずか数秒だった。現在の研究で開発されたLEDの半減期は50時間に近い。これは、わずか4年にして著しい改善であるが、広範な産業開発プログラムが必要になる。「そのLEDの劣化メカニズムを理解することが、今後の改善のキーになる」とDiは話している。
(詳細は、https://www.cam.ac.uk)