All about Photonics

Science/Research 詳細

高性能カドミウムフリー量子ドット開発

August, 28, 2018, 大阪--大阪大学大学院工学研究科・桑畑進教授、名古屋大学工学研究科・鳥本司教授の研究グループは、カドミウムを含まずかつ色鮮やかな量子ドット蛍光体の合成に成功した。
 量子ドット蛍光体は実用されている他の蛍光・りん光材料を凌ぐ、きわめて単色性の高い(スペクトル幅の狭い)発光を示すのが特徴で、色鮮やかさを重視する高価格帯の液晶ディスプレイを中心に、数年前より採用されてきた。しかし、従来の量子ドット材料は毒性の高いカドミウムやセレンを含む化合物であり、国際法の強化によって全面的に使用を禁止されることが決まっている。
 研究グループは、2008年に従来のカドミウム系量子ドットの代替材料として、I-III-VI族の3つの元素から構成されるカドミウムフリー量子ドットの発光に世界に先駆けて成功したが、発光の単色性は極めて悪いものだった。その後、世界中の産学の研究グループが凌ぎを削って改良を試みたが、量子ドット蛍光体にとって特に重要な単色性の問題を解決できずにいた。
 今回、同研究グループは、I-III-VI族3元系量子ドットの一つである「硫化銀インジウム量子ドット」について、その表面を硫化ガリウムで覆って「コア/シェル構造」と呼ばれる二重構造とすることにより、従来よりも大幅に単色性の高い発光を得ることに成功した。そのきっかけとなった硫化ガリウムは、シェル(=殻)として用いることなど常識では考えられない、結晶性の悪いことで有名な材料だった。実際に、詳細な分析によって結晶性を全く持たない、非晶質材料であることが判明している。
 研究成果は、「NPG Asia Materials」に公開された。

発表の要点
・「硫化銀インジウム量子ドット」の表面を硫化ガリウムで覆って「コア/シェル構造」と呼ばれる二重構造とすることにより、カドミウムを含まずかつ色鮮やかな量子ドット蛍光体の合成に成功
・これまでのカドミウムフリー量子ドット蛍光体は発光の単色性に課題があった
・今後、より色鮮やかな液晶ディスプレイ、より自然光に近いLED照明等の開発に期待
(詳細は、http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20180824_2)