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緑色蛍光体の開発により液晶テレビ用バックライトの色再現域の向上に成功

February, 28, 2017, つくば--物質・材料研究機構 (NIMS) 機能性材料研究拠点の広崎尚登フェローと、シャープ株式会社研究開発事業本部の和泉真室長、吉村健一研究員からなる研究チームは、8Kテレビに適した白色発光ダイオード (LED) の試作に成功した。
 LEDを構成する緑色蛍光体の発色を改良することにより、赤、緑、青の光の三原色の鮮やかさが向上し、8K放送の目標色域の90%を達成した。8K放送の色のきれいさを十分に再現できる色域であり、現行の液晶テレビと同じ蛍光体LED方式でのバックライトの実用化にメドが立った、と研究チームは説明している。
 東京オリンピックの年 (2020年) に、解像度と色再現域を広げた8K高品位テレビの普及が計画され、BT.2020規格として制定されている。これは、従来のNTSC規格に対して、色空間の面積比で134% (CIE1976座標上)の広い色域を有する。この規格を実現するには発色のよい光源が必要であり、現行のバックライト技術では対応できない。液晶ディスプレイは、LEDバックライトが放つ白色光を色フィルターで三原色に分解して画像を表示する装置であり、色再現性の向上にはバックライトに含まれる赤、緑、青の3原色の色成分の色純度を向上させる必要がある。現状のバックライトでは赤色や青色成分の色純度と比べて、特に緑色成分の発色が悪く問題となっていた。バックライトの色再現性を向上させるには、色域拡大に対応した緑色蛍光体の開発が望まれていた。
 シャープの協力を得て試作したLEDバックライトでは、NIMSが開発したγAlON (ガンマアロン) 緑色蛍光体を用いたことが特徴。この蛍光体は発光波長が525nmと色純度が高い緑色であり、スペクトルの半値幅が40nmとシャープなことが特徴。これにより、純粋な緑色の発色が可能となり、BT.2020規格の色再現域の90%を達成することができた。
 色域拡大の方式として、カドミウムを用いた量子ドットが提案されているが、環境負荷の点で好ましくない。開発技術では有害な元素を用いずに色再現域に対応でき、現行のバックライトの白色LED部品だけを置き換える技術であり、コスト面と安全面で優れている。
 今後、研究チームは、材料特性の改良による明るさ改善と低コスト化を進めた後に液晶テレビに組み込んで色再現性の調整を行い、2018年の8K実用放送開始に向け、8Kテレビのバックライトに適した白色LEDの実用化を目指す。
(詳細は、www.nims.go.jp)