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BARREL 気球の調査で、電磁波が地球に悪影響を与える可能性が判明

NASA が後援するカナダ・ノバスコシア州ダートマスの調査チームが、地球の電離帯を攻撃するプラズマ波は大気圏に荷電粒子をばらまく役目を担っていると発表した。この種の太陽活動により通信システムやGPS 衛星、有人宇宙探査、電力網が機能停止したり崩壊したりする可能性がある。
 調査チームは、地球の磁場をドーナツ状に取り巻く荷電電子帯であるバンアレン帯を頻繁に調べた。ダートマスのチームは電離帯の詳細な研究をするべく、機器を満載したBARREL(Balloon A r ray for Radiation belt Relativistic ElectronLosses : 電離帯の相対論的電子損失測定用の気球群) 気球を南極上空に飛ばした。気球の目的は、電磁波に起因する地球の電離帯から電子の放射性降下物を評価することである。チームは、赤道近くのプラズマと散乱粒子の測定および電磁イオンサイクロトロン波として知られるプラズマ波測定の同時実施を目標にした。チームによると「バンアレンプローブは粒子や電子・電磁界、つまり簡単に言えば、地球の両極に収束する地球の磁力線に続いて降下するエレクトロンなど電離帯にある全てを測定する。これが、最適な観測場所の1つである南極上空に気球を飛ばした理由である。降下してくるエレクトロンが大気圏に衝突するとX 線を発生し、気球計器がこれを実際に記録する」という。
 「こういった大気損失を測定することで、粒子がどのように大気に入り込んでくるのか理解しようとしている。我々の主な関心は宇宙で起こっているプロセスにある。バンアレン帯の粒子は決して地表には届かないので、健康への脅威とはならない。X線でさえ吸収されてしまうため、気球を上空に打ち上げて測定する必要がある」とダートマスチームのRobyn Millan 準教授は話す。同チームは2013年にも南極上空にある気球で静止気象衛星(GOES : Geostationary Operational EnvironmentalSatellite ) やバンアレンプローブ衛星からの測定結果を収集したが、今回の研究では、気球や衛星経由としては最も詳細なデータを得ている。
 詳細はECNのウェブへ。(2015/01/14)