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国立研究開発法人情報通信研究機構、生活環境における携帯電話基地局等の電波強度を明らかに

ポイント
■ 最近10年間の市街地、郊外及び地下街の携帯電話基地局等からの電波強度の変動傾向が明らかに
■ 我が国で初めて、生活環境における電波ばく露レベルの大規模・長期測定を2019年度から実施
■ 本格導入が進む5Gによる電波ばく露も対象に、長期的に測定を継続・公表していく予定

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長:徳田 英幸)は、市街地、郊外及び地下街の携帯電話基地局等からの電波強度の変動傾向を調査した。これまでに、携帯電話基地局等からの電波ばく露レベル変動を市街地・郊外・地下街における500地点以上で調査し、同一地域における過去(約10年前)の測定結果と比較したところ、電波ばく露レベルが上昇傾向にあるものの電波防護指針より十分に低いレベルであることを明らかにした。NICTは、2019年度から我が国で初めてとなる電波ばく露レベルの大規模・長期測定を実施しており、電界プローブによる定点測定、携帯型測定器を個人が持つことによる測定、電測車(測定器を搭載した自動車)による広域測定等を組み合わせて、生活環境における電波ばく露レベルのデータを取得している。
 今後、電測車を用いた広域測定等を通じて、5Gが本格導入される我が国の電波ばく露レベルの大規模測定を進めていく。
 電界プローブによる定点測定、携帯型測定器を個人が持つことによる測定、電測車による広域測定等を組み合わせることで、データの偏りを抑え、大規模かつ詳細な電波ばく露レベルのデータを取得している。

◆今回の成果
 NICTは、携帯電話基地局等からの電波ばく露レベルを市街地・郊外・地下街における500 地点以上で測定した。電界強度の測定方法は、電界プローブ(SRM-3006、Narda S.T.S. GmbH)(図1左参照)を使用して市街、郊外の場合1km×1km 四方を100 ポイント(10×10 グリッド)で、各地点で電界プローブの高さを地面から10 cm から200 cm に10 cm間隔で動かして測定した。測定周波数帯は700、800、900、1500、1700、1900、2000、2400、2500、3500 MHzである。測定時間帯は8:30 ~ 17:30である。スペクトラムアナライザの設定は、分解能帯域幅(RBW)は1 MHz、ビデオ帯域幅(VBW)は100 kHzである。その測定で得られた大量のデータを統計処理し、地域の差異や過去の測定結果から変動等について解析した。市街、郊外の測定結果を統計処理した結果を論文より図2で示す。これをさらに統計処理して単位をmW/m2に変えた中央値を図1の右に示す。
 地域別に結果を比較すると、市街地が郊外よりも電波ばく露レベルが高い傾向(4倍程度)が示された。この傾向は、過去(約10年前)と現在で変わりはなかったが、地下街の電波ばく露レベルは、郊外より若干大きい結果となった(図1右参照)。
 過去と現在との測定結果比較では、電波ばく露レベルが上昇傾向にあるものの、いずれの場合も電波防護指針に対して十分に低いレベル(中央値で約1/10,000 以下)ということが明らかになった(図1 右参照)。

◆今後の展望
 今回の成果は、5Gが測定地域に導入される前の結果であり、今後5Gにより電波ばく露レベルがどのように変動するかを明らかにするための参照データとなるものである。そのため、今後本格導入が進む5Gによる電波ばく露も対象として、長期的に(少なくとも2040年まで)測定を継続し、結果を公表する予定である。また、海外における電波ばく露レベルの調査活動とも連携し、国際的に相互比較可能な電波ばく露レベル測定データの取得・蓄積・活用の実現に取り組んでいく。

 詳細は下記のウェブへ。(2021/12/07)
● NICT:https://www.nict.go.jp/press/2021/12/07-1.html
● 論文:https://www.mdpi.com/1660-4601/18/15/8068#

図1.測定風景と電波ばく露レベル(中央値)の測定結果
図2.屋外環境における各周波数帯および全周波数帯の電界強度の統計的分布