ニュース 詳細

宇宙船オリオンが主要な環境試験に合格

 NASAのArtemis 1ミッションで使用される宇宙船オリオンは、オハイオ州のPlum Brook StationにあるNASAの熱真空チャンバーで数ヵ月間の環境システムレベルの試験を無事、完了した。この試験は、47日間の熱真空試験と14日間の電磁環境適合性および宇宙船が地球から月へ往復飛行中に遭遇する条件をシミュレートした干渉試験で構成されている。この試験は、宇宙船が宇宙で遭遇する極端な条件を安全に飛行するのに適していることを証明する。
 Artemis Iミッションは2021年春に打ち上げ予定の無人試験飛行で、2023年に予定されているArtemis IIカプセルを利用した初の有人飛行の前に実施される。無人のArtemis Iは月周回軌道へ到達後、地球に帰還する予定である。システムレベルの試験には、欧州宇宙機関(European Space Agency:ESA)の契約に基づいてエアバス社が製造した欧州サービスモジュール(European Service Module:ESM)が含まれていた。ESMは宇宙船の一部であり、オリオンカプセルに宇宙空間で推進力、電力、空気、水を供給する。
 エアバス社の宇宙探査責任者Andreas Hammer氏は、次のように述べている。「これは、月へのArtemis Iミッションの重要なマイルストーンである。私たちは、Bremenのエンジニアが設計・製作し、欧州10ヵ国の企業が支援したESMが、宇宙の過酷な条件に耐える要求に適合することをESAおよびNASAのお客様に証明した。Artemisプログラムは最初に女性、次に男性を月面に降ろし、彼らを安全に地球に帰還させる。私たちはすべてのノウハウ、専門知識、情熱をもってこの取り組みに貢献できることを誇りに思う。」
 オリオンはケネディ宇宙センターに戻され、さらに試験を経て、宇宙船が宇宙発射システム(Space Launch System: SLS)ロケットと統合できるように準備される。Bremenのエアバス社は、Artemis II用の2番目のService Moduleを製造中である。ESMは円筒形で、直径と高さは約4 メートルである。4つのソーラーアレイがあり、展開すると幅19メートルで、2世帯に電力を供給するのに十分なエネルギーを生成する。サービスモジュールの8.6トンの燃料は、1つのメインエンジンと32個の小さな制御ロケット動力を供給することができる。ESMは、オリオン宇宙船の主な推進システムとしての機能に加えて、軌道操作と位置制御を行う。また、水や酸素などの生命維持の中心的な要素を乗組員に提供し、乗組員モジュールにドッキングしている間、熱制御を統制する。さらに、ESMを使用して打ち上げ荷重を増やすことができる。
 詳細はAerospace TESTING誌のウェブへ。(2020/03/12)
https://www.aerospacetestinginternational.com/news/environmentaltesting/orion-spacecraft-passes-major-environmental-tests.html