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コンピュータのモデリングが気に入らないなら、テープとホイルを使ってみよう(1/2)

 嬉しいニュースだ!私の息子Rogerは工業科の2年生なのだがインターンシップ中にJMAG※1 でモデルの作り方を学んでいる。息子は数学的モデルがどんなにすばらしい洞察を与えてくれるか話してくれたので、私は物理的モデル(スケールモデル)を代わりに作ることもできるよ、と言った。以前、物理的モデルは数字的モデル以上に迅速に異なる洞察を見せてくれた。古いリバブレーションチャンバの物理的モデルが屋根裏にあったが、それはモノポールアンテナでワイヤハーネスに接続された供試デバイス(DUT:device under test)を完備していた。息子は驚いていた! その昔、私はこの模型を使って特定のDUTノイズ電圧からアンテナ電圧が生じると予想したことがあったが、これはモータの開発期間を短くするのに役立つものだった。DUTである永久磁石モータの電圧波形を見ると、アンテナで電圧波形がAM帯域を超えていることがわかった。開発サイクルの初期に機器のノイズが非常に多く追加の抑制が必要かどうか知ることは、製品の販売までの時間短縮に役立つ!私はFEA※2 モデリングも比較のために使っていたが、これによって面白い研究ができる。
 それは以下のとおりである。EMCの多くの問題は要約すると箱とワイヤということになる。例えばOtt pp.464-465を見てもらいたい。パソコンからケーブルがでていて、電源リード付きのモータがあり、電源コードが壁と携帯電話に接続された充電装置がある。それら全てにノイズを出す機器が付いていて、図1に示すように機器を収容する「箱」からノイズが出ていく経路が全てにある。ワイヤと「箱」からどれぐらいの放射ノイズが出ているのか気にしなければならないこともある。このケースでは、図2のように、箱とノイズ源とワイヤ1本に問題を単純化できることが多い。
 私にとって特に問題だったのは、150 kHz ~2 MHzからの長波とAM帯域のノイズだった。一般的に試験アンテナは配線やデバイスに非常に近いため、直接放射ではなく静電容量経由でノイズを拾う。このケースでは、シールドルームでアンテナ試験を実施した。機器とアンテナの間にどれぐらいの静電容量があるかを見極めて、デバイスに使うRF抑制回路を変更した際にアンテナがどの程度のノイズを拾うのか調べようとした。
 図3はスケールモデルの図である。全体でもわずか1フィート(約30 cm)、両サイド0.5フィート(約15 cm)である。壁と床、天井は両側にホイルを貼ったフォームボード(発泡スチロール)でできている。ずいぶん昔のものだが、モノポールマストは同軸ケーブルRG58の内部導体であったと記憶している。モノポール・グランドプレーンは、同軸ケーブルを金属プレートにはんだ付けされてできている。酸化銀を含む接着層を持つ伝導アルミニウムテープをチャンバの結合に使った。このように、テープとホイルによって導電性チャンバの連続する壁を作ることができたのである。導電性が連続していることは、リバブレーションチャンバ(あるいは低い周波数での電波暗室)が機能する方法なので、重要である。チャンバは外界のノイズから試験場所をシールドするファラデーケージである。スプリンクラーやポート、チャンバの照明やケーブル経由でチャンバに入ってくるノイズはいくらかあるだろう(「Christmas Music in the Chamber」の記事参照)。
 このモデルは非常に小さいので、DUTとアンテナの間の静電容量はLCRメータで測定できる。低い周波数については、この試験ではチャンバの寸法が非常に小さい。(このように)試験室の寸法に比較して波長が長い場合、ワイヤと壁の電荷分布は、電荷生成に直流電圧を使った場合とほぼ同じである。これは「準静的」な状態である。

[※訳者注]
1. JMAGはシミュレーションソフトなどの名称
2. FEA(Finite Element Analysis):有限要素解析

2018年4月27日 by Candace Suriano