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高速電波バースト“Afterglow”は明滅するブラックホールか?

 ハーバード大学は昨年2月、天文学者チームが高速電波バーストと呼ばれる謎の事象からの「残光(afterglow)」を検知したが、これにより「バースト源の位置を正確にピンポイントで示すかもしれない」ことがわかったと発表した。「ハーバードの天文学者Peter Williams氏とEdo Berger氏の新研究により、残光だと信じられていた電波放射が実ははるか彼方の銀河の中央部に源を発しており、高速電波バーストとは無関係であることがわかった」という。
 Berger氏は「名前が表すとおり、高速電波バースト(FRB:Fast Radio Burst)とは、持続時間わずか数ミリ秒の短いが強力な電波エネルギーの噴出である。最初に発見されたのは2007年で、発生源は謎のままだった。…(中略)… 我々の銀河系の中から来たのか、他の銀河から来たのかさえわからない」と説明している。ハーバード大によると「多くのFRBは保管された記録データ内で見つかるので、直ちにフォローすることが不可能である。新しい事象FRB 150418は、リアルタイムで認識された2番目の例にすぎない。Nature 誌に発表された電波観測は、消えゆく電波残光が意図的にFRB と関係があるように見せたが、その残光は地球から6億光年離れた母銀河にFRB をリンクさせるために使われたのである」という。
 「2016年2月後半から3月にかけて、WilliamsとBergerは、National Science Foundationのニューメキシコにあるカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(Jansky VeryLarge Array (VLA)) のネットワークを使って、想定される母銀河を詳細に調査した。VLA のすばらしい感度のおかげで、2人は通常動作を中断することなく電波銀河をモニタすることができた。今のところFRB の科学的知識は、30年前のガンマ線バーストについての知識と同程度である。FRB は現れたり消えたりで、その正体や原因についてはわからなかった。今では、ガンマ線バーストについては、長短両方のタイプについて確固たる証拠がある。もっとデータが揃い、運が良ければ、FRB の謎についてもそのうち解明できると思う」とWilliams 氏は話している。
 詳細はハーバード大のウェブへ。(2016/04/06)

◆写真
ニューメキシコにある超大型干渉電波望遠鏡群(写真提供:NRAO/AUI)