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HALOプロジェクトで完璧レーザビームの探求

May, 27, 2015, Aachen-- EUのHALO(High power Adaptable Laser beams for materials processing)プロジェクトの一環として、フラウンホーファー研究所レーザ技術ILTの研究チームは、リソースを保存しながら最高品質要件を満たすようにレーザビームの強度を分布させることに取り組んでいる。
 シートメタル切断では、レーザは十分に確立されたツールになっている。8kWまでのレーザパフォーマンスは業界の技術標準であり、50㎜厚の金属板でも切断できる。最近では、2Dアプリケーションに加えて、成形部品の3D加工が全般的に増えてきており、これは一部には、特に自動車の車体設計で加工が難しい、高強度、プレス硬化スチールの大量使用のためである。レーザ工具は、半導体、ガラス、プラスチック、複合材料など、他の材料の切断に適していることが実証され、すでに導入されている。通常の切断法を使用するときの品質低下になる工具摩耗は、レーザ切断では起こらない。とは言え、レーザ加工部品の切断エッジは、例えばプレス金属部品と比べるとまだ粗い。これは、問題のアプリケーションで最良の結果を出すために必要とされるレーザビームの形状が適切でないことが原因の一部となることがある。
 一般的なレーザビームは、その中心部で非常に高強度であり、サイドがベル形状に強度低下する。しかし、そのようなガウシアン強度分布のレーザビームは、全てのアプリケーションで必ずしも理想的とは言えない。例えば、このようなビーム分布は1㎜厚のシートを比較的高品質に素早く切断するには適しているが、1㎝厚のシートは端の方で強度分布が強いブロードなビームを必要とする。ごく最近の研究活動は、様々な材料タイプや厚さの材料の切断に適したレーザビームを定め、結果として得られる可能性を選ぶことに焦点を当てている。
 これがEUのHALOプロジェクトの狙いである。2012年9月以来、7つの研究機関と業界企業で構成される国際コンソーシアム(TRUMPF、Synovaを含む)が、アプリケーション特有のビーム形成の開発に取り組んでいる。Gooch & Hausego Ltdをリーダーとして、プロジェクト参加者は、個々の利用ケース向けにレーザビームの強度分布をカスタマイズしている。最終極的には、そのレーザシステムはユーザが実地試験できるように実装されることになっている。フラウンホーファーILTの専門家は、コスト削減、加工速度、製品品質向上に関して、大きな可能性をこれに期待している。