Science/Research 詳細

レーザベース超音波で金属3Dプリンティングの欠陥生成を検出

May, 18, 2022, Livermore--ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)チームは、表面音響波組込の診断(レーザベース超音波で生成)が、レーザ溶融ライン(メルトライン)を効果的、正確に評価し、素早く検出できる溶融ライン、ボイドおよび表面特性からの音響エネルギー散乱によるレーザ粉体床溶融金属3Dプリンティングにおける欠陥を検出できることを実証した。

LLNL研究者は、溶融トラックのオンデマンド特性化を行い、一般的な金属3Dプリンティングプロセスにおける欠陥形成を評価する新しいオールオプティカル超音波技術を開発した。

Scientific Reportsに発表された論文で、研究チームは、レーザベース超音波で生成される表面音響波(SAW)を使う診断を提案している。これは、レーザ粉末床溶融(LPBF)金属3Dプリンティングにおける微小な表面および表面下欠陥を明らかにする。チームは、光学顕微鏡とX線CTを使って成果を評価した。

「この研究が、LPBFプロセスと粉末の迅速、オンデマンドインシチュ(その場)特性評価ができるオールオプティカル超音波システムの可能性を示すと考えている」とLLNLエンジニア、主席研究者、David Stobbeはコメントしている。「実証したレーザベース超音波、表面音響波システムは、表面および表面近傍の特徴に優れた感度を示した。これには、LPBF溶融ライン、金属表面スパッタや表面下の空気細孔が含まれる」。

表面音響波は、歴史的に表面および表面近傍特徴の特性評価に使用されてきた。エンジニアリング材料におけるクラック、ピット、溶接など。また地質学では、遙かに長い距離で、洞窟など、地下の特徴検出のために使用されている。その表面および表面近傍感度のためにSAWsは、研究者によると、LPBFプリンティングのメルトライン評価に最適である。

この潜在力をテストするためにLLNLチームは、真空チャンバに方向付けたファイバレーザを使ってレーザ溶融ラインを造ることで実験を行った。また、100W、150Wおよび300W出力レーザで、分析のためにチタン合金サンプルを作製した。次に、表面音響波を作り、検出する方法を開発した。これには、パルスレーザを使って超音波を生成し、光屈折レーザ干渉計で変位を計測した。

チームは、実験計測の情報を提供するためにシミュレーションも実施した。また、結果の解釈で支援した。パルスレーザからの変位をシミュレート、計測し、メルトラインからの散乱、メルトラインの破損、メルトライン近傍およびメルトライン下の表面下空気細孔の金属スプラッタを示した。チームは、同じ特徴を実験的に計測し、シミュレーションと実験とがよく一致していることを観察した。

レーザベース超音波(LBU)実験からの結果は、表面特性を光学顕微鏡で評価した。また、表面下の特性は、X線 CTで評価された。研究者は、X線 CTと比較してLBUシステムは、「リアルタイム検査では優れており、より高速にデータを取得し、処理できる」と報告している。

「レーザベース超音波の利用は、従来のX線 CTと比較して、表面下ボイドの検出時間を、数日から数分に大幅に短縮した。この診断をプロセス内モニタリングに実装するまでにさらなる開発が必要であるが、チームは、この初期成果で張り切っている」(Kathryn Harke)。

研究チームによると、この方法は、LPBFプリンティングでインシチュ実装に適しているが、ボイド検出のサイズと深さに限界がある。また、インシチュモニタリング、構築後の検査はは、さらなる開発を必要としている。

(詳細は、https://www.llnl.gov)