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電子デバイスから貴重な原材料回収に成功

July, 17, 2020, Aachen--EUプロジェクトADIRが始まり、電子デバイスの全く新しい自動リサイクリング法を開発する。これは、電子デバイスを分解し、それに含まれる貴重な原材料を回収する方法である。「次世代都市鉱山- 自動分解、分離し、電子装置から貴重な材料を回収する」(ADIR)プロジェクトチームは、持続可能なリサイクリングコンセプトの開発に過去4年をかけた。Fraunhofer Institute for Laser Technology ILTをリーダーとし、3カ国から8プロジェクトパートナーが参加する、ADIRプロジェクトの戦略的目標は、EUの自然資源依存の低減、高価な原材料輸入の必要性低減、逆製造のために新しい技術の実証である。

その新しいリサイクルコンセプトは、特に、タンタル、ネオジウム、タングステン、コバルト、ガリウムといった元素に焦点を当てている。これらの金属は、実質的にあらゆる新しい電子デバイスに発見されるもので、希少性によりそのコストは、場合によっては、キログラム当たり250ユーロに達する。また、使用済みの電子デバイスからそれらをコスト効果よく回復することは非常に難しい。ADIRプロジェクトコンソーシアムは、約1000のモバイルフォーン、800以上のコンピュータPCBsを分解することで、その新しいリサイクリングコンセプトの有効性を実証した。

都市鉱山
「都市鉱山」は、ビル、インフラストラクチャあるいは製品から二次的原材料の回復である。フラウンホーファーILTのReinhard Noll教授とDr. Cord Fricke-Begemannは、この重要なトレンドからヒントを得て、リサイクリングに新たなアプローチで取り組むことにした。ADIRプロジェクトのパートナーとともに、チームは、コンピュータや古いモバイルフォーンからのPCBsを一つ一つ処理するコンセプトを開発した。そのプロジェクトに必要とされるロボットR&Dのサポートは、Fraunhofer Institute for Factory Operation およびAutomation IFFから得た。

レーザの役割
プロジェクトは、電子デバイスを分解して選択的に貴重なコンポーネント部品を寿命終末で取り出すために設計された自動化、柔軟プロセスを中心にしている。その分解プラントは、レーザ技術、ロボット工学、ビジョンシステム、情報技術のインテリジェントな組み合わせに依拠している。レーザは、重要な役割の一つを担う。各コンポーネントが何で構成されているかを特定し、半田を除去し、ボードからコンポーネントを迅速かつ非接触工程で切り出す作業を行う。この特許手順は、産業規模で高い経済価値のある重要材料を戦略的に回復する効率的な手段である。

 プロジェクトマネージャによると、大型コンピュータPCBsから数キログラムのコンポーネントを回収した。「われわれは、96~98%のタンタルを得ることができた」。この例は、電子デバイスに含まれる最も重要な材料の多くが、望み通りに、効率よく取り出せることを示している。これにより、再利用可能な高含量の二次的原材料の新起源が生まれる。これは、処女原料サプライヤによって提供されるタンタル原鉱濃度と比較すると非常に高い」。

競争前段階の開発プロジェクトは完了しておりADIRチームのデモンストレータは、そのコンセプトの経済的実行可能性を確認した。「われわれが今までに得た知識により、プロセスチェーンの一部は立上り、走り出すことができるようになっている。これには、プリント回路ボード(PCBs)の検査、半田除去、コンポーネントの分離が含まれる」とRichard Noll教授はコメントしている。しかし、まだ改善の余地がある。例えば、スマートオートメーションコンセプトを使って携帯電話筐体の解体プロセスを高速化し、PCB、バッテリ、磁気コンポーネントアクセスする。データは、従業員が、新しい携帯電話モデルの処理にリサイクリング装置を訓練する際に利用できる。

こうしたアイデアは、すでに産業的関心を集めている。プロジェクトチームは、それらを実用化する考えを持つ最初のパートナーを見つけており、さらに続けて候補を見つける予定である。この新しいコンセプトの利点は、原材料の効率的利用をはるかに超えるものである。逆製造技術を導入する新たな機会を提供することで、ドイツが他の地域からの出荷に依存することを減らす可能性がある。これらは、将来の持続可能経済で閉じた材料サイクル確率必要となる。

(詳細は、https://www.ilt.fraunhofer.de)