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レーザ溶接で神経外科の微小縫合改善

January, 6, 2014, Sesto Fiorentino--脳動脈の微小縫合は、手術の傷口修復、微小血管再結合の至適基準となっている。
レーザベースの縫合技術は、従来法に対していくつかの利点があり、1970年代から研究されてきた従来法にともなう問題の解決策になる可能性がある。最も有望なアプローチの1つは、810nmダイオードレーザによるレーザウエルディング(容着)と、インドシアニン・グリーン(ICG)として知られる色素剤の組み合わせである。ICGはレーザ光の吸収を仲介し、結果として光熱効果により局所組織が融合する。しかし、ICGの液状性は部分的に光学的劣化を招き、組織の広い範囲に広がることから、容着領域を局所化することができない。これへの対処として、イタリア学術研究会議応用物理学(IFAC-CNR)のFrancesca Rossi氏の研究グループは、ダイオードレーザと固体形状のICG、キトサンという生物高分子の組み合わせを基盤としたレーザソルダリング(接着)を提案している。
研究グループは、レーザ利用血管修復(LAVR)、レーザ利用血管吻合(LAVA)のソルダリングツールとしてICG注入キトサンパッチを計画しテストしてきた。同パッチは、生理環境で耐性、安定性があり、従来の液状ICGに比べて長期にわたる光学的安定性向上を示している。吸収ピークは近赤外域。このパッチは、穿孔創を覆うプラスタとしての使用も可能。研究グループは、組織とパッチとを癒着させるのに近赤外(NIR)レーザ(300μm径ファイバコア付810nmダイオード)を用いる。まずシングルレーザパルス(100J/㎝2)を与え、ファイバ端をパッチ外層に接触させておき、照射域は水和させておく。次に連続レーザ照射(18W/㎝2)でパッチと組織面との密着を強める。
研究グループは、最適化されたレーザソルダリングを用いてウサギの頸動脈で生体テストを行った。縫い合わせることなくLAVRを実施。わずか4スティッチ(縫合)で微小血管を端から端まで結合(LAVA)した。すべてのサンプルで、即時効果的な縫合が観察され、極短時間の手術で完璧な創縫合を達成した。血管の強さ、形態形質を、組織学、免疫組織化学、走査電子顕微鏡法により後の追跡時間(最大90日)で調査した。処置した全ての血管は完全に塞がっていた。血管壁の治癒は良好であり、内壁は完全に回復していた。
(詳細は、SPIE Newsroom)