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金属への接着性を改善するレーザストラクチャリング

May, 9, 2017, Dresden--フラウンホーファー(Fraunhofer) IWSとIFAMの研究グループは、大面積、高効率、環境にやさしいファイバグラス金属ラミネート(GLARE)前処理新技術を開発した。この新技術は、航空研究プロジェクトAUTOGLARE構想で共同開発された。
 接着接合された多層複合材料は、レーザで前処理され、検証可能であり、優れた接着性と腐食特性を持ち、陽極酸化処理槽での化学的前処理は不要となる。
 プロジェクトは2015年9月にスタートし、AIRBUSと連携している。
 航空宇宙産業では、GLAREは将来性のある軽量材料と見なされている。これは複数のアルミニウムと繊維層でできており、それぞれがわずか1㎜の数10分の1の厚さである。新材料の利点は、純金属に比べて、溶け落ち性、衝撃作用が改善されており、遅発亀裂伝搬により疲労挙動が強化されている点。しかし、極めて少量であるため、この半完成コンポーネントの製造はほとんど自動化されておらず、したがってコストとリソースの消費が著しく高い。複数の研究および産業パートナーとともにIWSとIFAMの研究グループは、自動GLARE製造の基礎技術の研究を進めている。 
 研究の注力は、これまでは湿式化学技術をベースにしていた表面前処理を効率的に、環境にやさしくするプロセスの開発。この代替技術は、要求の厳しい課題への直面は避けられない。従来の陽極酸化処理槽は、表面拡大と表面活性化により、表面を洗浄するだけでなく、ファイバ強化膜への接着も改善する。
 IWSのアプローチは、レーザ照射による洗浄と構造化で接着結合の前処理をベースにしている。これまでは、金属蒸発に必要な高強度をこの種のレーザが出せると言う理由だけで、パルスレーザシステムを材料のアブレーションに適用していた。残念なことに、こうしたレーザシステムは数平方センチメートルの加工にとどまる。
 しかし、このプロジェクトでは、数平方メートルの表面構造化が必要であり、したがって著しく効率的なレーザシステムが必要とされる。前処理には、IWSの研究者は高出力連続放射固体レーザと遠隔技術を用いた。優れた照射はキロワットレンジにフォーカスしており、基板全域で同時迅速スポット移動により再現性の良い材料アブレーションが可能になる。優れた生産性達成のために、レーザスポットは300 m/sの速度で表面全域を直線的に動く。このプロセスにより、現在1m2/秒のアブレーションレートが可能になっている。比較すると、多様なバスでの湿式化学前処理は少なくとも20分はかかる。
 アルミニウム表面に生成された、10µm以上の構造により接合膜への適切な接着が可能になる。
(詳細は、www.fraunhofer.de)