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IBMT、フィンガースキャナで関節炎を早期発見

November, 11, 2015, St. Ingbert--フラウンホーファー生体医用工学研究所(IBMT)をリーダーとするEC資金助成のプロジェクトに取り組む専門技術者はフィンガースキャナを開発している。同スキャナにより将来的には、指の関節炎の早期診断が可能になる。
 人の関節は極めてハイテクである。滑らかな軟骨層が、摩擦のない、骨の素早い動きを容易にする。関節包の内側、いわゆる骨膜が、常にそれ自体の潤滑油を生成して関節を覆っている。しかし慢性的関節炎に罹っている人は、骨膜の炎症によってこのプロセスが大きく阻害されている。関節リウマチの場合は、これが最も厳しく破壊的である。時間の経過とともに骨膜の炎症は、軟骨さらには骨の障害にもなり、激痛と関節の硬直を来す。
 関節リウマチなどの慢性関節炎にはまだ治療法はないが、早期に分かれば投薬によって抑制することができる。とは言え、関節炎の早期発見には、適切なイメージング技術が必要になる。従来のX線イメージングは、かなり進んだ段階で関節炎の典型的な特徴を発見するだけである。一方、ドップラー超音波を利用すると、局部血流量の変化を可視化することによって比較的早期に関節炎を発見できる。炎症を起こし厚くなった骨膜で増えた血流は一般に疾患の兆候であり、これは従来の血管が広がっているだけでなく、炎症過程の結果として新しい血管が形成されたことが原因になっている。しかし、血管の形成は低血流量では非常に小さく、ドップラー超音波による発見は初期段階では難しい。MRIは軟骨や骨の関節炎の変化をX線よりも早く発見できるが、これはX線やドップラー超音波よりも非常に高価である。
 関節炎の違うタイプを早期発見できるようにするためにIBMTをリーダーとする複数の研究機関や企業で構成されるヨーロッパのコンソーシアムは現在、超音波技術と新しい検出法を結合した代替診断技術を開発している。特に、これには炎症部位の関節や他の病変を探し出す3Dフィンガースキャナの利用が関係している。
 スキャナは光音響イメージング技術を使って動作する。ここでは、指に可視光短パルスレーザを当てる。組織が、この短い光パルスを吸収すると、わずかに温かくなり、それによって組織がわずかに広がり、脈圧が生じ、超音波イメージングと同じ方法の音響トランスデューサを使って脈圧を記録する。脈圧のパタンから、その機器は炎症がどこで起こっているかを正確に示すことができる。診断をさらに改善するために、光音響法はハイパースペクトラルイメージングシステムの利用によって強化されている。この方法は、強い白色光による指のスキャニングに基づいており、その結果、ある波長の光が炎症した組織によって吸収される。組織によって吸収されない波長がどの波長であるかを分析することで研究者は、その組織が影響をうけているかどうかを判断することができる。これらの方法の両方とも主に柔らかい組織、特に血管の画像を生成するが、システムはスキャナの音響トランスデューサを使って超音波画像も生成する。
 次に、超音波画像は、ハイパースペクトラルイメージングおよび光音響法から得られたデータと統合され、医師は組織のあらゆる炎症部位を明確に特定することができる。