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空間情報とスペクトル情報を同時提供する分子イメージング

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August, 19, 2015, Berkeley--ローレンスバークリー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)の研究者は、ナノスケールで生物を見るために物理化学的方法を用い、前例のないスペクトル的空間的分解能で単一分子を撮像する新技術を開発した。これにより初めて真の超高分解能の顕微鏡を実現した。
 バークリーラボのライフサイエンス部門の研究者、Ke Xu氏は、この発明をSR-STORM(スペクトル的に分解された確率的光再構成顕微鏡)と名付けた。SR-STORMにより個々の分子の完全なスペクトル情報と空間情報が得られるので、その技術は細胞内の複数要素やpH変化などの局所化学環境の高分解能イメージングを可能にする。
 「われわれは個々の分子の位置とスペクトルの両方を計測し、その超分解能空間位置を2Dプロットし、スペクトルの位置にしたがって個々の分子に色づけした。その意味で、それは真の超分解能顕微鏡であり、その種のものでは初めてである。これは新しいタイプのイメージングであり、単一分子スペクトラル計測と超分解能顕微鏡を結びつけたものである」とXu氏は説明している。
 さらにSR-STORMはスループットが高く、約5分で数100万の単一分子の空間的スペクトル的情報を提供できる。従来のスキャニングベースの技術を使用すると、数10の分子で構成される1フレームの画像に数分かかる。
 Xu氏は、ポスドク研究者としてハーバードでXiaowei Zhuang氏とともに行った研究を基盤にしている。Zhuang氏は、単一分子イメージングとフォトスイッチングをベースにした超分解能顕微鏡、STORMを発明した。互いに向き合う2つの顕微鏡レンズを持つデュアルオブジェクト(双対物)システムを考案することで研究チームは、サンプルの前と後を同時に見て、細胞観察で前例のない光分解能(約10nm)を達成した。ニューロン撮像にこの方法を用い、骨格細胞の主要構成要素(細胞のバックボーン)、アクチンが軸索では樹状突起(ニューロンの2つの部分)とは異なる構造であることを示した。
 とは言え、現在の超高分解能顕微鏡技術ではスペクトラル情報は得られない。このような情報は研究者が、個々の分子の振るまいを理解し、多数標的の高品質マルチカラーイメージングを可能にするために役立つ。
 「今ではわれわれは、単一分子のスペクトルとその位置を同時に積み重ねており、このような問題は解決した」とXu氏は言っている。
 研究チームは、狭い投射窓でサンプルを14の異なる染料で染め、励起し、1つのレーザで分子を光スイッチした。出射が近接しているので14色のスペクトルがかなり重なるが、個々の分子を明確に区別してすぐに特定できることが分かった。
 多くの病気は侵入してくる病原体で起こるか、細胞の内部構造の劣化によって起こるかのいずれかである。例えばアルツハイマーは、ニューロン内部の骨格細胞の劣化に関連している可能性がある。「骨格細胞システムは、多数の細胞下構造とタンパク質の相互作用で構成されており、われわれの技術はこのような異なるターゲット間の相互作用に関する研究を、前例のない数のカラーチャネルと空間分解能で可能にする」とXu氏はコメントしている。