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蝶をほとんど見えなくする低反射翅

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May, 20, 2015, Tustin-- グラスウイングバタフライ(Greta oto)の透明な翅の不規則なナノ構造は光の反射を妨げる。
 グラスウイングバタフライは、羽が透明であるにもかかわらず、ほとんど光を反射しない。その結果、捕食鳥は飛びながらその蝶を追跡することが難しい。Hendrik Hölscher指導下の研究チームは、蝶の翅の表面の不規則なナノ構造が反射低下をもたらすことを発見。理論実験で、その効果の再現に成功した。この成果は、携帯電話やラップトップのディスプレイなどに応用される。
 ガラスなどの透明材料は、常に入射光の一部を反射する。目が透明な蛾など、透明な表面を持つ生き物の中には、反射を小さく抑制することができるだけでなく、視野角が表面に垂直な時にのみ反射を抑制するものもある。主に中央アフリカに生息するグラスウイングバタフライの翅は、高角度で見ると極めて低反射になる。視野角次第で、鏡面反射は2~5%の間で変化する。例えば、視野角に応じて、平坦ガラス面は8~100%の間で反射する。つまり、蝶の翅の反射の数倍となる。蝶の翅は、可視光の光スペクトラムの反射率が低いだけでなく、動物が感知できる赤外や紫外放射も抑制する。この点は蝶の生存にとって重要である。
 研究チームは、走査電子顕微鏡でグラスウイングを調べた。初期の研究では、規則的な柱状のナノ構造が他の生き物の低反射に関わっていることが明らかになった。次に、蝶の翅にナノピラーを発見した。以前の研究とは異なり、ナノピラーは不規則に並んでおり、高さはランダムである。ピラーの典型的な高さは、400~600nmの範囲で変わる。ピラー間の距離は、100~140nmの範囲にある。
 シミュレーションにより、計算された光の反射量が、可変視野角で観察された量に正確に対応していることが明らかになった。このようにして、可変視野角で低反射は、このような不規則なナノピラーが原因であることが証明された。「規則性が最優先である他の自然現象と対照的に、グラスウイングバタフライは明白なカオスを利用して、われわれにとっても魅力的な効果を達成している」と博士課程学生で、この効果の発見者であるRadwanul Hasan Siddique氏は説明している。