Science/Research 詳細

EPFL、呼吸検査で頭と首のガンを発見

April, 28, 2015, Lausanne--スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)が国際的協力を得て開発したポータブルデバイスで、人の呼吸からある種のガンの存在を検出することができる。
EPFLが開発した技術は、喉あるいは口、頭や首のガンを人の呼吸を分析することによって迅速に特定できる。この新しいデバイスは、極めて高感度のセンサを備えており、すでに患者でテストし、コンピュータ、モバイルフォンでも操作できる。これは腫瘍の初期診断では画期的なツールである。
定期検診でガンを発見することは極めて稀である。しかし、この病気は世界で3番目に多い死因となっている。ほとんどの腫瘍は相対的に発見が遅く、あまり回復しない。

人の呼吸にガンの存在を示すシグナル
Nico de Rooijの指導を受け、ヌーシャテルのSAMLABで、研究チームは健康な患者と病気の患者の呼吸を区別することができる非常に高精度なマイクロセンサを開発した。研究は、人の呼吸が空気だけでなく、数百の揮発性有機化合物(VOCs)を含んでいるという観察が出発点となった。VOCsの存在と濃度は、患者の健康状態に依存して変わる。ガン細胞の代謝作用は、健全細胞の代謝作用とは異なっており、2つのタイプの細胞は、量的にも類型学的にも異なる物質を生成する。その結果、それらは人の呼吸に「特徴」を残す。
研究チームは、マイクロセンサ網を利用してこの微妙な差異を検出しようとした。MSSと言う技術は最初、EPFL研究者と1986年ノーベル物理学賞受賞者、Heinrich Rohrerとの共同開発だった。各センサが直径500µmのシリコンディスクで構成されている。これはポリマで覆われており、ピエゾ抵抗素子を集積した4つの極小「ブリッジ」で支えられている。気体に晒されると、そのポリマがある分子を吸収しディスクの形状が変わる。この変形が4つのピエゾ抵抗ブリッジで検出され、電気信号が出力される。この現象により、ガスの特徴と濃度が分かる。この仕組みは、個々のセンサ上の異なるポリマを使用することによるもので、これによって気体の組成を概観することができる。
Nico de RooijⅣにると、「電気鼻」という分子検出法が市販されているが、人の呼吸のような非常に複雑な気体の分析は難しい。「特に湿度が読み取りを混乱させ、偽陽性、偽陰性になる」。この新しいセンサによって、検出プロセスが極めて正確になった。
バーゼル大学のスイスナノサイエンス研究所と共同でEPFLの研究チームは、ローザンヌ大学病院の実際の患者でそのデバイスをテストすることができた。患者は病気であるか、頭や首のガンで外科治療を受けていた。このテストの結果は、このセンサが信じられないほど効果的であることを示していた。
アプリケーションは多様であり、プロジェクトの別のパートナーである日本のNIMS/MANA研究センタは、このセンサをモバイルフォンに接続した。また、生物学者もこの開発成果に関心を抱いている。
(詳細は、www.epfl.ch )