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バイオインスパイヤデバイス、人の目のようにイメージング

May, 24, 2023, University Park--Penn Stateの研究者は、自然からヒントを得て、新しいデバイスを開発した。これは、人の目にある赤、緑、青の光受容体、神経ネットワークを模擬することで画像を生成する。

「われわれは自然から設計を借りた。われわれの網膜は、赤、緑、青色光に感度がある錐体細胞、神経網を含んでいる。神経網は、情報が脳に送られる前にさえ処理を始める。この自然のプロセスが、われわれが見ることができるカラフルな世界を作る」とPenn State材料科学学部研究助手、Kai Wangは、話している。

人工デバイスでこれを実現するために研究チームは、狭帯域ペロブスカイトフォトディテクタから新しいセンサアレイを作製した。これは、われわれの錐体細胞を模擬するものであり、われわれの神経網を真似る神経形態学アルゴリズムにそれを接続し、情報を処理し、高忠実画像を生成する。

フォトディテクタは光エネルギーを電気信号に変換する。カメラや多くの他の光技術にとっての基本である。狭帯域フォトディテクタは、光スペクトルの個々の部分、可視光を構成する赤、緑、青に焦点を合わせる。

「この研究ではわれわれは、光の単一波長のみに感度がある、ペロブスカイト材料の新しい設計法を見出した。われわれは、3つの異なるペロブスカイト材料を作製した、それらは、赤、緑、または青色にのみ感度があるような方法で設計された」(Wang)。

その技術は、現在のカメラにあるフィルタの利用を回避する方法を示している可能性がある。現在のカメラは、解像度が低く、コストと製造の複雑性の増加となっている。

カメラのシリコンフォトディテクタは、光を吸収するが、色を区別しない。外部フィルタが、色を分離する、つまりフィルタにより一つの色が光センサの各セクションに到達するので、入力光の2/3は、無駄になっている。

「光がフィルタリングされると、ある程度の情報の損失が出るが、われわれのデザインを使うことでそれは回避できる。したがって、われわれは、この研究が将来のカメラセンシング技術を代表すると提案している。つまりより高い空間分解能が得られる」。

研究者は、ペロブスカイト材料を使用したので、新しいデバイスは、光を吸収するとパワーを生成し、バッテリフリーカメラ技術に扉を開く可能性がある、と研究チームは、説明している。

「そのデバイス構造は、光を使って電気を生成するソーラセルと類似である。それに光を照射すると、それは電流を生成する。したがって、われわれの目のように、光からこの情報を得るためにエネルギーを適用する必要はない」とポスドク研究者、Luyao Zhengは、コメントしている。

この研究は、人工網膜バイオテクノロジーでさらなる開発のトリガーとなり得る。この技術に基づいたデバイスは、いずれ、われわれの目の細胞で死んだ、あるいは損傷した細胞に取って代わることが考えられる。

研究成果は、Science Advancesに報告された。これは、ペロブスカイト狭帯域フォトディテクタデバイス実現で、いくつかの基本的なブレイクスルーである。材料合成からデバイス設計、システムイノベーションまでである。

ペロブスカイトは半導体である、光がこれらの材料に当たると、それは電子ーホール対を生成する。これらの電子とホールを反対方向に送ると、電流が生まれる。

この研究では、チームは、非常にアンバランスな電子ーホールトランスポートで、博膜ペロブスカイトを作製した。つまり、ホールが電子よりも速く材料を透過して移動する。アンバランスなペロブスカイトのアーキテクチャを操作し、レイヤのスタック法により、研究チームは、材料を狭帯域フォトディテクタに変えるのではなく、特性を利用できることを発見した。

この研究では、チームは、これらの材料でセンサアレイを作製し、プロジェクタを使って、そのデバイスを通して画像を照射した。赤、緑、青のレイヤに集められた情報は、信号処理と画像再構成のために3つのサブレイヤニューロモルフィック(神経形態学的)アルゴリズに入れられた。ニューロモルフィックアルゴリズムは、人の脳の操作をエミュレートする一種のコンピュータ技術である。

Wangによると、ニューロモルフィック処理を適用すると、画像は、オリジナルに一段と近づいた。

そのアルゴリズムは、人の網膜神経網を模擬するので、研究成果は、これらの神経網がわれわれの視覚に対する重要性について新たな洞察を与えた、と研究者は考えている。

「われわれのデバイスとこのアルゴリズムを統合することで、その神経網機能が、人の目の視覚処理で、実際に重要であることを実証している」とWangは話している。