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子どもの脳腫瘍に薬剤送達を強化する新アプローチ

May, 8, 2023, New York--Mount Sinai Health System およびMemorial Sloan Kettering Cancer Centerの研究者は、新しい薬剤デリバリアプローチを開発した。これは
ナノ粒子を使って、より効果的で的を絞った抗ガン剤デリバリを可能にし、子どもの脳腫瘍を治療する。

同技術により、正常な脳領域を残しながら、脳腫瘍の特定箇所に抗ガン剤のデリバリ強化が可能になる。Nature Materialsの論文によると、結果は、抗ガン剤の効果改善、毒性低減である。

髄芽腫は、最も一般的な小児脳腫瘍。子どもの全脳腫瘍の約20%を占める。それは高悪性度で、処置が難しいので、患者の約30%は治療不能と考えられている。“治った”子どもでさえ、深刻な長期傷害や健康問題を経験する、これは主に放射線や化学療法の有害な副作用によるものである。影響を受けた脳組織への部位特異的薬剤デリバリは、明確な、高制御の血液脳関門によって妨げられる。血液脳関門は、普通は、感染、他の有害物質から脳を守る。

研究では、チームは、免疫系が白血球を感染、炎症、組織障害部位に送るために使う正常なメカニズムを利用する。体中にランダムに免疫細胞を送るのではなく、活性化した血管にはホーミングメカニズムがある、免疫細胞は、それを使って、必要とされている箇所に行く。研究チームは、この独自のホーミング機能を使った。これは、脳腫瘍血管内にも見つかっている。この機能を使って、薬剤装填ナノ粒子を病気の部位を標的にし、正常な脳領域を回避した。

遺伝的に関連がある髄芽腫のマウスモデルで新しい薬剤デリバリプラットフォームを使い、チームは抗ガン薬の有効性を強めることができた。これは、髄芽腫患者のサブセットに使える可能性があるが、、現在は、二次的に子どもに骨毒性を起こすので制限されている。

「この的を絞った薬剤デリバリアプローチが、超低線量放射線によってさらに強化されることも示した。これは、原発性および転移性脳腫瘍のほとんどの子どもや成人で、すでに標準的な治療なっている」とMount Sinai、Icahn医学部、Dr. Rajuは、コメントしている。「重要な点は、われわれの血液脳関門薬剤デリバリアプローチが、他の小児脳腫瘍、子どもと成人の両方の脳における限局性疾患への薬剤デリバリを改善する可能性があると言う点である。これには、焦点テンカン、多発性硬化症、卒中、おそらく神経変性疾患が含まれる」と同氏は付け加えている。

「炎症部位の血管に、あるタンパク質が現れ、それが白血球が血流から脱するのを助ける。つまり、交通事故現場の警官のように機能し、緊急人員を助ける」とMemorial Sloan Kettering Cancer Centerの分子薬理学プログラム、ガンナノメディシン研究所長、Daniel Heller, PhDは、コメントしている。

研究者は、この方法の継続的な研究と開発が物質の血液脳関門通過に役立ち、改善することは、数種の承認済み実験治療薬の有効性改善に役立つ、と予想している。この薬剤デリバリプラットフェームは、脳や身体の他の部位のガン治療に利用できる。また、中枢神経系など、他の炎症関連疾患にも利用できる。
(詳細は、https://www.mountsinai.org)