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膵臓腫瘍を縮小するインプラント可能デバイス

April, 24, 2023, Houston--Houston Methodistナノメディシン研究者は、米粒よりも小さなデバイスにより免疫治療を直接腫瘍にデリバリすることで膵臓ガンを制御する方法を発見した。膵臓ガンは、最もアグレッシブで治療が困難なガンの一つである。

Advanced Scienceに発表された論文で、Houston Methodist Research Instituteの研究者は、インプラント可能ナノ流体デバイスを使用した。これは、CD40モノクロナール抗体(mAb)、有望な免疫療法薬をナノ流体薬剤溶出シード(NDES)により持続的低用量でデリバリするためにチーが開発したものである。マウスモデルで確認された結果は、従来の全身免疫療法と比べて4倍低用量で腫瘍が縮小していた。

「最も素晴らしい成果の一つは、NDESデバイスが、同じ動物モデルの2つの腫瘍の一つにのみ挿入されていても、デバイスなしの腫瘍の縮小を見出したことである。つまり、免疫療法の局所的処置は、他の腫瘍をターゲットにする免疫反応を活性化できるということであった。実際、一つの動物モデルは、100日の継続的観察で腫瘍フリーのままであった」とHouston Methodist Research Institute、ナノメディシン、准教授、論文の共著者、 Corrine Ying Xuan Chua, Ph.D.,は、説明している。

膵臓腺ガン(PDAC)は、進んだステージで診断されることがよくある。実際、患者の約85%が、診断では転移性疾患である。

Houston Methodistの研究者は、International Space Stationで類似のナノ流体デリバリ技術を研究している。Houston Methodist、Grattoniのナノメディシンラボは、慢性疾患治療のために制御された長期薬剤デリバリと細胞移植に向けたインプラント可能ナノ流体ベースプラットフォームに焦点を当てている。

免疫療法は、以前には適切な処置オプションがなかったガンの治療に有望である。しかし、免疫療法は、全身に送達されるので、多くの副作用の原因となり、生涯とは言わないまでも、時には長期になることがある。デリバリを直接腫瘍にフォーカスすることで、身体は毒性薬剤に晒されることから保護され、副作用が少なくなる。基本的に患者は、よりよいQoLとなる治療を受けることができる。

「われわれの目標は、ガンが処置される方法の変革である。われわれは、このデバイスを侵襲性が少なく、効果的な方法で膵臓腫瘍に浸透する実行可能なアプローチとして見ている」と、Alessandro Grattoni, Ph.D.,は、説明している。同氏は、Houston Methodist Research Instituteのナノメディシン部(Department of Nanomedicine)チェア、論文の共著者。

NDESデバイスは、ナノチャネルを含むステンレススチール薬剤リザーバで構成されており、薬剤が放出されるときに持続的分散ができる膜を形成する。

他の医療技術会社がガン治療向けに腫瘍内薬剤溶出インプラントを提供しているが、それらは、短期利用を意図したものである。Houston Methodistのナノ流体デバイスは、長期の制御された持続的放出を意図している。これにより有害な副作用につながることがある全身処置の反復が避けられる。

このデリバリ技術の効果と安全性を決めるための追加のラボ研究が行われているが、研究者は、これが次の5年でガン患者の実行可能なオプションになると見ている。

(詳細は、https://www.houstonmethodist.org)