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光でニューロンの活動をセンシング

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October, 15, 2014, Pasadena--何年も前から神経科学者たちは、脳の回路の活動を、ニューロンが発火する最初の瞬間から組織全体の結果的な振る舞いまで、はっきりと見ることができるツールを開発しようとしてきた。この完璧な画像を得るために神経科学者たちは脳を研究する一連の新しいツールを開発に取り組んできた。Caltechの研究チームは、生きた組織の神経ネットワークをマッピングする新しい方法を提供する、そのようなツールを開発した。
 ニューロンが静止している時、細胞膜のチャネルとポンプは細胞に特異的な正と負に帯電したイオンを細胞の内外に持っており、その結果定常膜電圧、つまり細胞の静止電位となっている。しかし、ニオイや音など、刺激が検出されると、イオンは新たに開いたチャネルから流れ出し、膜電圧を変える。この電圧の変化は、活動電位と言われることがよくある。つまり回路活動を動かすニューロンの刺激だ。
 研究チームが開発したツールは、これら電圧の変化のマーカーとして役立つ。
 「このツールの重要な目標は、従来の電気生理学ではなく、光でニューロン活動のセンシングを実現することだったが、この目標には前提条件が必要だった」と生物学・生物工学准教授Viviana Gradinaru氏は言う。「センサは速くなければならない、と言うのは活動電位はミリ秒で起こるからだ。また、信号が既存の顕微鏡で検出できるようにセンサは非常に明るくなければならない。さらに、ニューロンネットワークを作っている多数のニューロンを同時に研究することができなければならない」。
 研究チームはアーキロドプシン(Arch)、バクテリアからとった感光性タンパク質の最適化を始めた。自然では、Archのようなオプシンは太陽光を検出し、光合成ができるように微生物の運動を光の方に向けさせる。しかし、研究チームは、オプシンの光応答特性を光遺伝学に活用し、そこで生物のニューロンが遺伝子工学によってこれらの微生物のオプシンを表現するようになる。すると、改良したニューロンに光を当てるだけで、細胞の活動や生物の関連する振る舞いを制御することができる。
 研究チームが最も関心を持っていたArchの特性がある。赤い光に当てるとそのタンパク質は電圧センサとして機能し、活動電位が存在するところで光を発しながら膜電圧の変化に応答する。この特性によってArchは原理的にはニューロンネットワークの活動を検出できるが、このニューロン活動をマークする信号は、暗すぎて見えないことがあった。
 この問題に対処するために、研究チームは、Frances Arnoldが1990年代に開発した技術、指向性進化という方法を用いてArchタンパク質を明るくした。研究チームはArchに突然変異を導入し、そのタンパク質の数百万の異形をエンコードした。チームは、突然変異遺伝子をE. coli細胞に移送し、その遺伝子をエンコードされた変質タンパク質を造らせた。次に、結果としてえられた数千のE. coliコロニーをスクリーニングして蛍光の強度を調べた。最も明るいバージョンの遺伝子を隔離し、次の突然変異生成にかけ、バクテリアが元のArchタンパク質の20倍を超える明るさのタンパク質になるまでスクリーニングした。
 研究チームは、この新しい明るいArch異形を培養齧歯動物ニューロンに組み込み、どのバージョンが電圧変化に最も感度がよいか、つまり活動電位の検出に最適であるかを調べた。Archer 1は、明るくて、ほ乳類のニューロンの活動電位をリアルタイムでマークすることができる感度があっただけでなく、回路の中でどのニューロンがシナプスによってつながっているか、相互通信できるかを特定するためにも用いることができた。
 しかし、生きた組織のなかでのセンシング活動、この活動を振る舞いと関連づけることが、最大の課題として残った。この目標を達成するために、Archer 1を生きた生体、線虫C. elegansの中のセンサとしてテストした。
 線虫の臭覚系の一部をなすニューロン、C. elegansの感覚情報の一次源にArcher1を組み込んだ後、研究チームは線虫に臭気物質を当てた。臭気物質があると、基準蛍光信号が見られ、臭気物質を取り除くとニューロン回路が光るのを見ることができた。このことは、これらの特定のニューロンが刺激があると抑制され、刺激がないと活発になることを意味する。この実験は、Arch異形が生物の活動電位を観察するのに用いられた初めての実験だった。
(詳細は、www.caltech.edu)