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UCSF、ガン遺伝子が免疫系に「Eat Me」フラッグを出す薬剤

October, 20, 2022, San Francisco--腫瘍細胞は、人の免疫系への侵入が得意なこと悪名高い。物理的な壁を作り、変装し、分子トリックで免疫系に手錠をかける。今回、UCSFの研究者は、これらの障害の一部を克服する薬剤を開発した。免疫系によりガン細胞に印をつけ、破壊させる。

Cancer Cellに発表された新しい治療法は、タンパク質KRAS複合体の変異バージョンをガン細胞表面引きつけ、そこで薬剤KRAS複合体が、“ぼくを食べろ” 「Eat Me」フラッグとして働く。次に、免疫療法が、免疫系を誘導して、このフラッグを持つ全ての細胞を効果的に.除去する。

「免疫系はすでに、変異KRASを認識する能力があるが、通常は、それはうまく見つけられない。このマーカーをそのタンパク質に着けると、それは、免疫系にとって遙かに容易になる」とHoward Hughes Medical Institute Investigator、Kevan Shokat Ph.D、この新しい研究のリーダーは言う。

KRAS変異は、全腫瘍の1/4程度に見つかるので、それらはガンでは最も一般的な遺伝子変異の一つになる。変異したKRASもソトラシブ(sotorasib)の標的である。ソトラシブは、FDAが肺ガンで使用することを予備的に承認している。また、2つのアプローチが、最終的に、組み合わせることでうまく行く可能性がある。

「われわれが標的KRAS薬剤を組み合わせることができる免疫系を活用する新しい戦略は、素晴らしいことだ。これが、ガン患者にさらに深く、長く反応することは疑わしいとわれわれは考えている」と、UCSFの製薬科学教授、論文の筆頭著者、Charles Craikは、コメントしている。

ガンマーカーを反転
免疫系は、一般に、異質細胞を認識する。その表面から突き出した異常なタンパク質のためである。しかし、ガン細胞では、その外側に見つかる固有のタンパク質はほとんどない。代わりに、腫瘍細胞を健康な細胞から区別するほとんどのタンパク質は、細胞内にある。そこでは、免疫系は、腫瘍細胞を見つけることができない。

KRASはガンでは極めて一般的であるが、長年、それは薬にならないと考えてられていた。KRASの変異バージョンは、腫瘍細胞の成長を促進するが、細胞内部で活動する。それを正常なKRASから区別するのは、小さな変化のみであることが多く、結合する薬剤では、その構造を直ぐに見ることはない。しかし、ここ数10年で、Shokatは、タンパク質の詳細な分析を行い、薬剤がブロックできる変異KRASに隠されたポケットを発見した。同氏の研究は、ソトラシブの開発と承認に貢献した。

しかし、ソトラシブは、KRAS変異体を持つ患者全てに有用というわけではなく、それが縮小した一部の腫瘍は、抵抗し、再び成長を始める。

新しい研究では、チームは、ARS1620、ソトラシブに類似の標的KRAS薬剤が、変異KRASに結びつくことを示している。それはKRASが腫瘍の成長に影響することを妨げない。それは、細胞を誘導して、ARS1620-KRAS複合体を、異質分子として認識させる。Shokat, Craikとチームは、KRASを標的とする別の方法があるかどうかを検討した。

「この変異タンパク質は通常、レーダー下では飛び去る。健康なタンパク質と非常に類似しているからである。しかし、それにこの薬剤を付着させると、それは直ちに見つかる」(Craik)。

すなわち、細胞は、タンパク質を処理して、免疫系への信号としてそれを表面へ移動させる。1度は内部に隠されたKRASは、今度は、腫瘍細胞の外側に“eat me” フラッグを表示する。

有望な免疫療法
内側から細胞の外へ変異KRASのシフトによりUCSFチームは、次に、数10億の人抗体をスクリーニングして、今度はこのKRASフラッグを認識できるものを特定することができた。研究チームは、孤立タンパク質と人の細胞の両方についての研究で、チームが特定した最も有望な抗体が、薬剤ARS1620、およびRS1620-KRAS複合体と強く結びつくことを示した。

次にグループは、その抗体の周囲で免疫療法を操作し、免疫系のT細胞を誘導してKRASフラッグを認識させ、破壊する細胞を標的にする。チームは、新しい免疫療法が、変異KRASを持ち、ARS1620で処置された腫瘍細胞を殺すことを確認した。これには、すでに開発されたARS1620に耐性を持つものも含まれる。

「ここに示したものは、現在の薬剤に耐性がある細胞が、われわれの戦略により破壊できることを示す概念実証である」(Shokat)。

その治療が臨床利用できるまでには動物や人でさらなる研究が必要である。研究チームによると、その新しいアプローチは、KRAS複合体とガンの治療との組み合わせだけでなく、標的薬剤と免疫治療との他の類似の組合せにも道を開く。

「これはプラットフォーム技術である。われわれは、分子を細胞面に動かし、それらを免疫療法に従うようにする他の標的を追求したい」とCraikは話している。

(詳細は、https://www.ucsf.edu)