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ラマン分光、口腔ガン診断に有望

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January, 19, 2021, Washington--ハンブルク大学医療センタの研究者は、ラマン分光として知られる光ベース分析技術が、口腔扁平上皮ガン(OSCC)の早期検出に役立つことを示している。

OSCCは、最も高頻度に見られる口腔ガンタイプ、世界で最も一般的なガン診断にランクされている。効果的な処置は利用できるが、そのガンは末期になるまで発見されないことが多く、全体的に予後不良となる。

「ラマン分光はラベルフリーで非侵襲的であるばかりか、潜在的に、周辺光条件でも利用できる。したがって、歯科医で潜在的なスクリーニングツールとしての利用に有望である」と研究チームリーダー、Levi Matthiesは説明している。

Biomedical Optics Expressに発表された論文で多研究機関の研究チームは、シフト励起ラマン差分分光法(SERDS)として知られるタイプのラマン分光が、健全な組織、OSCC、非ガン組織の区別に成功したと報告している。

現在のガイドラインによると、臨床的に明らかな口腔の目立つ粘膜病変は、初期の保存療法とモニタリングを必要とする。それらが続くと、外科的生検により確定となる。「われわれの研究が示すところでは、ラマン分光の潜在力は、病変がガン性であるかどうかをリアルタイムで明らかにする。すぐに生検に取って代わるわけではないが、その技術は貴重な時間の経過、侵襲的な処置数を減らす上で役立つ」とMatthiesは説明している。

光ベースガン検出
ラマン分光は光をこ使って、生体組織の分子組成についての情報を明らかにする。SERDSとして知られるこの分析アプローチの変形は、関心のある分子からのラマン信号を不明瞭にする強力な背景蛍光を示す組織などのサンプル分析に有用である。

SERDSがOSCC診断に役立つかどうかを確認するために、研究チームは、コンパクトな可搬ラマンセンサを設計した。これはチューナブルダイオードレーザ、ファイバ結合分光計およびラマンプローブで構成されている。それを使って、37名の患者の生検サンプルを180の計測箇所で分析した。分析は、ラベリング試薬を加えず、自然な状態の生検サンプルで行われた。

生の分光データを処理した後、研究チームは、その組織を分類するために設計された計算モデルをトレーニングし、テストした。そのアプローチは、OSCCを非悪性病変から88.4%の正確さで、また健全な組織からOSCCを89.8%の正確さで区別することができた。悪性と非悪性病変を区別するために使用したスペクトル特性のほとんどは、タンパク質と核酸分子からのものである。

「われわれの結果は、このアプローチが、ラベリング試薬を加えることなく、口腔病変を客観的、椅子に座ったままでリアルタイム診断する有望な候補であることを示している。また臨床試験と侵襲的生検の診断ギャップ低減にも役立つ」と同氏は説明している。

研究チームは、そのアプローチの開発をさらに進めることで前ガン状態の分類、異形性組織異常の発病度の格付け、様々な口腔病変サブタイプの区別ができるように拡張する。チームは、そのシステムをさらにポータブルにし、リアルタイム診断をサポートするために分析のスピード向上にも取り組んでいる。