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プラズマ散乱顕微鏡で個別タンパク質を精密イメージング

October, 2, 2020, Tempe--アリゾナ州立大学のShaopeng Wang教授のチームは、新しい研究でタンパク質を詳細に調べる方法を説明している。これをするために研究グループは、表面プラズモン共鳴(SPR)として知られる現象を利用し、それを革新的顕微鏡に組み込んだ。

SPRは、バクテリアやウイルスの相互作用を含め非常に小さな世界を研究するための強力な技術であり、今回の研究は、SPRを使って単一分子、今回は、タンパク質のイメージングに成功した初の例である。その新しい方法は、プラズマ散乱顕微鏡として知られている。

Wangによると、この技術の開発競争は20年前から実際に始まった。

論文の主筆、NJ Taoとともに研究グループは、改良SPRが単一タンパク質を解像する感度があることを計算した。ただし、これを実現するには多くの事前準備が必要だった。

Wangは、Biodesign Center for Bioelectronics and Biosensorsの研究者。新しい研究は、Nature Methodsのオンラインに発表された。論文の主筆、ポスドクPengfei Zhangが中心になっている。

SPRを利用することで研究者は、薬剤設計の主目標である、細胞表面タンパク質の動力学を調べることができる。これは、X線結晶学、あるいは核磁気共鳴(NMR)分光法を利用して観察することは特に難しい。両方の従来技術は、通常、たんぱく質の特性評価に用いられている。

Wangによると、表面プラズモンは次のようなものである。「金属の一つの特性は、多くの自由電子の存在である。これら電子への入射光の条件が適切であれば、光のエネルギーが、これらの電子を共鳴させる。この振動する電子が金属表面に波を生成する。これが表面プラズモンである」。

SPRを使って、被検分子(タンパク質)と受容体分子の結合を検出するために、受容体分子は通常、センサ表面に固定され、被検分子が水溶液に加えられる。一般に、偏向光を薄い金膜表面下に向ける。そこでは、入射光の特定角度で、表面プラズモンが生成される。表面プラズモンによる光の表面閉じ込めは、反射光強度の低下として観察される。

タンパク質分子が固定された受容体分子に結合すると、金表面で屈折率が変わり、表面プラズモン共鳴条件が変わって、信号強度が増す。

システムの改善と調整のために、研究チームは、先ずポリスチレンナノ粒子を使って結合イベントを観察した。粒子のサイズは精密に制御可能である。ナノ粒子には、コントラストを高める、SPRによる検出を助けるという利点もある。ますます小さなナノ粒子を使うことでグループは、生物タンパク質の微小サイズに到達できた。

そのような素晴らしい分解能を達成するために研究チームは、SPR技術変形を利用し、下からではなく、上からタンパク質結合イベントへの光を検出した。これは、配景ノイズを飛躍的に減らし、鮮明画像を生成する。結合タンパク質が全方向にSPR光を散乱させるので、上からの検出は、反射光を回避し、画像品質が著しく改善される。

単一タンパク質の検出は、非常に強力な光源なしで実現可能であるので、SPRはセンサ表面付近の光場を増強し、タンパク質信号を明確にする。

安全で、より効果的な薬剤にとって重要なキーパラメタの一つである、タンパク質結合類似を目指すことで、新しいSPR技術は、生体医用分野に明るい未来をもたらし、分子スケールで基本的な問題にも新たな光を当てることになる。

(詳細は、https://asunow.asu.edu)