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鉄ナノロボット、標的細胞の動きを追跡

September, 14, 2020, Saudi Arabia--体内の生きた細胞をKAUST (King Abdullah University of Science and Technology)で開発された新しい方法を使うことで、その位置や移動を非侵襲的にリアルタイムで何日も追跡し観察できる。

その技術は、磁気コアシェル鉄ナノワイヤを非毒性造影剤として使用する、これを生きた細胞に埋込み、MRIでスキャンし、生体内でその細胞の位置を発光させる。その技術は、ガンの研究や処置から、肝細胞治療など、生きた細胞の治療の追跡まで、アプリケーションがある。

Jürgen Koselと研究チームは、先頃、コアシェル鉄ナノワイヤが、選択的にガン細胞を殺すことを示した。抗ガン剤を標的細胞に供給し、同時に細胞膜を破裂させ、熱を噴出させる組合せ攻撃である。現在、スペイン、サンセバスチャンのCIC biomaGUNEの研究者と協力して研究チームは、同じタイプの鉄コア、酸化鉄シェルナノワイヤが非侵襲的医療イメージングに使えることを示した。そのナノワイヤは、潜在的に「セラノスティック」剤として使え、標的細胞を特定、追跡、さらに取り出すことができる。

「セルラベリングと追跡は、科学的、臨床的アプリケーションの非常に貴重なツールになった。細胞追跡研究の重要側面の一つは、インプラント後に少数の細胞検出感度があることだ。したがって、われわれのナノワイヤの強力な磁化と生体適合性は、MRIトラッキングにとって有利な特徴である」とKoselチームの Ph.D学生、Aldo Martínez-Banderasは話している。

そのナノワイヤは、非常に低濃度でもMRI造影剤のように機能し、またチームによると、磁気応答は、ナノワイヤシェアルの厚さを変えることで調整可能である。ナノワイヤの生体適合性により、生きた細胞の長期追跡ができた。「ナノワイヤは、細胞の生存、機能、増殖能力に妥協することなく細胞と相互作用した」とMartínez-Banderasは説明している。ラベル付けされた細胞は、細胞培養、または生きた動物に注入されるか、そのいずれかで追跡された。「ナノワイヤの強力な磁化により、少なくとも40日の期間で、マウス脳内の約10のラベル付けされた細胞の検出ができた。したがって、われわれは、そのマウスでナノワイヤの正確な位置と結果を追跡することができた」(Martínez-Banderas)。

「これらコアシェルナノワイヤは、他にも様々な特徴がある。それらを磁気的に制御して特定位置にそれらを誘導する、薬剤を運ぶ、レーザで加熱するなど。その全てとトラッキング機能を組み合わせると、ナノ医療で非常に有望な新しいアプローチに扉を開くセラノスティクプラットフォームができる」とKoselは話している。