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湾曲角膜の細部を細胞レベルでとらえるOCT

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July, 30, 2020, Washington--フランスの研究チームは、細胞レベルの細部、大面積で人の角膜の湾曲層のOCT画像を初めて取得した。その新しいOCT装置により眼病、角膜の神経密度を変える糖尿病などの健康障害のモニタリング改善が可能になる。

「眼の湾曲の最外部として、角膜は目の健康と一般的な健康状態の両方の透明な窓である。われわれの装置から利用できる細胞レベルの解像度と大きな視域は、内皮機能不全や一般的な糖尿病状態など角膜疾病のモニタリングに理想的である。また、生体スケールでその進展を理解し、新たな治療法の有効性を定量的に評価する上で最適である」とESPCI Paris CNRSの統合研究機関、Langevin InstituteのViacheslav Mazlinは説明している。

Opticaに発表された論文で、研究グループは、その像面湾曲OCT機器について説明している。これは、現在角膜診断で用いられている臨床機器よりも10倍の領域で高解像光断面を示す。高解像度と大きな視域の組み合わせにより、病気を診断するために細胞と神経の正確な計数が可能になり、病気に影響された領域を見逃すことが少なくなる。

白内障手術の改善
大きなイメージング領域の高解像度視野は、白内障手術結果改善に特に重要である。白内障手術は内皮細胞損失の原因となる、また、その細胞が臨界閾値以下に減ると、角膜移植が必要になる。

「医者は、白内障手術前に、術後に角膜を維持できるだけの十分な内皮細胞があることを確認するために内皮細胞計数を行うことがよくある。われわれの装置は、既存の臨床機器よりもはるかに広い視野があるので、もっと多くの細胞をカウントすることができ、角膜の健康のより正確な評価ができ、また手術予測と結果を改善することができる」とソルボンヌ大学のKristina Irschは説明している。同氏は、論文の共著者。

その新技術はOCTベースである。これは高解像度非侵襲的イメージング技術であり、網膜の断面画像を撮るために一般に利用されている。OCTは、サンプルからの光と、追加の光参照アームにあるミラーからの光との干渉を利用することで薄い光学スライスを撮る。

既存の全視野OCTアプローチは、眼の表面に平行な光学面を撮るために開発された。スライス全体は、2Dカメラで撮られる。しかし、角膜のような湾曲サンプルでフラットなスライスを撮ると、同時に複数の角膜層をスライスし、視野が制約される。

角膜の湾曲に一致する光学断面を撮るために研究チームは、付加的光学参照アームのフラットミラーを湾曲光学レンズで置換えた全視野OCT構成を使用した。その2Dカメラは、視野内の全ピクセルを同時に撮るので、他のOCT構成で生ずるアーチファクトの影響を受けない。

「眼が常に動いている人の眼のイメージングで全視野および湾曲フィールドOCTの利用が最近可能になった。これは、高速でより優れた光検出能力の先進的カメラの開発によるものである」とLangevin Institute、研究チームリーダー、Claude Boccaraは話している。

デバイスのテスト
フラットターゲットとモデル眼でそのデバイスをテストした後、チームはそれを使って健康な人の角膜を撮像した。これは、角膜頂点、最大曲率点にその装置を据える必要があった。目は絶えず動いている。チームは、ジョイスティックで動かせるモーター駆動XYZ並進ステージに装置を設置することでこれを実施した。

このセットアップでは、アライメントはわずか数分であり、画像取得は一秒足らずで完了した。装置は、人の角膜の神経と内皮細胞の取得に成功した。1mm平方という前例のない視野であった。

その新しいデバイスは、ガ眼科以外にもアプリケーションがある。「われわれのデバイスは汎用であり、湾曲構造を示すどんなタイプの透明サンプルの研究にも有用であることが証明される」とMazlinは話している。

研究者によると、そのデバイスは臨床研究で使う準備ができている。自動細胞計数、アライメント手順の容易化など、臨床医の経験を改善する機能を組み込むためにチームは取り組んでいる。また、分解能をわずかに下げるだけでもっと視野を広げることも計画している。